『食品ロス』に、新たな価値を。食べものの“環”をひろげます。
私たち日本フードエコロジーセンター(J.FEC)は、食品工場やスーパー、コンビニなどで余ってしまった食べもの(食品循環資源)から養豚用の飼料を作る会社です。
日本では多くの食品や家畜の飼料を海外から輸入する一方で、年間472万トン(令和4年度)もの食品ロスが発生しています。これらの多くは生ごみとして税金を使って焼却され、温室効果ガスの発生源となっているのが現状です。
そこで弊社では、こうした余剰食品の中から飼料に向くものを選んで細かく破砕。液体状になった食品を加熱殺菌後、乳酸発酵することで、高品質かつ低コストのリキッド発酵飼料(エコフィード)を製造することに成功しました。前身の工場が2005年に神奈川県の相模原市で操業を開始。2013年に現在の社名になって以降、一日も休むことなく、平均40t/日の食品をリサイクルし続けています。
さらに、この飼料で育った豚肉はブランド豚としてスーパーや百貨店、外食店舗などで販売され、多くの方にご好評頂く商品となりました。このような食べ物の“環”(リサイクルループ)を作る仕組みは、持続可能性の高い事業として第2回「ジャパンSDGsアワード」で最優秀賞(内閣総理大臣賞)を受賞するなど、各方面から高い評価をいただいています。
また新たな取組みとして、関連会社である「さがみはらバイオガスパワー株式会社」が2023年11月より操業を開始しました。飼料に向かない食品をメタン発酵させ、ガスで発電を行うとともに発酵後の消化液から肥料原料を製造するなど、弊社との連携により食品循環資源の飼料化・肥料化・エネルギー化をワンストップで実現する食品リサイクル施設となります。
今後は発電能力を生かして災害時の拠点となるべく、地域との連携を深めていく予定です。
このような食品ロスの現状や弊社の取組みを多くの方に知って頂くため、弊社では一般の方向けに工場見学や出張講義を行っています。
近年では年間1,000名以上のご見学者を受け入れており、今後も多くの方に食品リサイクルの取り組みを知っていただくことを目指します。
こうした弊社の取組みは、「あ!ちょっと世界が良くなった体験」を目指す大阪・関西万博にもつながるものと考えています。
食品ロスを一気にゼロにすることは難しくても、その地域や会社の特徴をつかむことで、ロスを減らしたりリサイクルしたりする提案ができるかもしれない。また、消費者の方と一緒に「なぜ食品ロスが生まれるのか」を考えることで、新たな取組みが生まれるかもしれない。
そうした一つひとつの努力を、この万博での情報発信を通して行っていきたいと思います。
たとえば万博に来た人が私たちの取組みを知って、帰り道の買い物の時に、食品ロスのことを少しだけ思い出してくれたなら。買い置きのパンや、冷蔵庫の野菜を余らせずに美味しく食べようと思ってくれたなら、ちょっと食品ロスが減り、ちょっと地球に優しくなれる。
弊社の取組みの発信を通じてそんな体験を広げることが、私たちの“ちょっと世界を良くするチャレンジ”です。