私たちの共創チャレンジ
近年の気候変動により、極端事象の影響が日本及び世界各地で報告されるようになってきました。一方で、経済発展や人口増加、グローバリゼーションによる生活様式の一元化によって、わたしたちは、地域がこれまでの環境・社会変動を乗り越えてきた知を失いつつあるのかもしれません。また地球環境問題と地域固有課題のスケールが異なるため、わたしたち個人で問題意識を持つのが難しい現状があります。また、わたしたち研究者が喜界島に入って気づいたことは、科学知が専門家、地域、世代を超えたコミュニケーションの欠如により地域社会に届かない、適切に活用されていないなど、科学知と地域社会の間には、大きな隔たりが存在することです。これらの課題の解決に向けて長期的に取り組むべく、わたしたちはコミュニケーションの手法としてアートを取り入れます。科学の力や先人の知恵を基に、共感を得やすい地域社会像を得るために、1)アートを媒介として科学分野・ステークホルダー間の知見を融合する手法、2)アートを媒介として共感を得やすい地域社会像を得るために、有識者、企業、アーティスト、地方自治体と実現に向けたプロジェクトの企画立案と実行を行います。それぞれの知識や経験、想い、理想の未来をアートで表現し、共有することにより、地球環境問題に対して地域から解決を目指す共創の手法と人材を創出します。
未来への宣言
わたしたち人間を取り巻く環境は、複雑で変化に富んでおり、地域によっても異なります。地球環境問題の解決には私たち一人一人が100年後に残したい未来を一緒に考え、行動を起こすことのできる仕組みを生み出し、世界に発信していきます。
きっかけ
喜界島サンゴ礁科学研究所は、世界でも稀少な隆起サンゴ礁で形成された喜界島にある、サンゴ礁と地球環境変動、そして人・地域・社会のあり方を研究する研究所です。「100年後に残す」を理念とし、国際的なサンゴ礁研究拠点として、地球規模での気候変動解析と未来予測のために必須である一次記録を次世代に残すための事業を展開しています。喜界島という世界的にも有数のサンゴ礁科学研究の聖地での研究活動を通して発見した「本物のフィールドの中に科学者やアーティストが集うことでできる共創の場作り」をする事で得られる「科学的知見に基づいた共感を得やすい未来社会像を得るアートの手法」を活用し、次世代の総合知を活用する科学的な知識を身に着けた人材育成のための教育プログラムの開発と実践を行ってきました。科学、アート、地域を掛け合わせたコンテンツを活用し、次世代、地域と未来像を共有し、地球規模の変動と地域固有課題の解決を目指す共創の場と人材の創出を全国、全世界に拡大することで、地域から世界を変革していきます。
大阪・関西万博のテーマとの関わり
地球科学や人文科学の調査研究を通して過去の自然と人の関係性の再検討し、共感性の高い地域社会への還元を目指します。地球環境課題を自分ごとへすることで、わたしたちの地域と地球の未来像「いのち輝く未来社会」 を創っていきます。