2021年8月29日、9月5日に行われたダーウィンコース「心理の回」の投稿です。
本講座では、「昆虫食の心理学」をテーマに研究を行いました。今回研究手法を教えてくれたのは、幅広い心理学的事象を研究されている錢 琨(せん・こん)先生。「どうして昆虫食が苦手な人がいるのだろう、なぜ苦手なのだろう」という疑問を解き明かすため、アンケート調査~集計~分析を行うことになりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態措置期間であったため、オンラインで実施されました。
1、史上初!?小学生による昆虫食の心理学調査のための「尺度」づくり
実は、昆虫食の心理学のアンケート項目を構成するための、決まった「尺度」(注1)はまだありませんでした。そのため、小学生による小学生のための、昆虫食心理学調査の尺度作りから始めました。まず初めに、「昆虫食をどう思うか、どんなイメージなのか」と考えたときに思いつくワードをグループに分かれて出し合いました。そこで出たイメージをグループごとに発表し、みんなで相談しながらアンケート項目を19項目に絞りました。
(注1)心理測定尺度のこと。目に見えない心理を把握するための「心の物差し」でありいくつかの質問に対する回答を得点化することにより、心理現象を量的に測定できる。
2、アンケート調査、そして分析
作成した昆虫食の心理学のアンケートは、6日間、ダーウィンコース受講者のお友達にインターネット上で回答してもらいました。回収したアンケートは、錢先生に分析のための「バイオリンプロット」(注2)や「相関図」を作成してもらい、読み解き方のレクチャーを行っていただきました。データから気付いたことをみんなで話し合い、「どうして昆虫食が苦手な人がいるのだろう」「なぜ苦手なのだろう」という疑問について考えました。
(注2)回答の分布(散らばり方)が見やすいようにバイオリンの形のような図になっていて、パっとみてデータの特徴を見ることができます。
3、調査から見えてきた「どうして昆虫食が苦手な人がいるのか」
アンケート結果の分析から分かったことは、虫の「見た目」や「形や味」と、虫を食べる「抵抗感」に相関関係があったことです。他にもいくつかの質問項目で、相関関係があることが分かりました。
調査を通して分かったことや気付いたことから、昆虫食をより多くの人に受け入れてもらうためには昆虫をきれいにすれば良い?形をなくせば良い?味をよくすれば良い?などの方法をみんなで考え、最後はワークシートに絵で表現していきました。
★オンライン受講中の様子
さいごに
コロナ禍でのオンライン実施にも関わらず、子どもたちは積極的に発言したり、アンケート調査の依頼をお友達にしたりと、楽しく研究することができました。とくに尺度作りの段階でアンケート項目を絞っていくとき、とても活発に意見を出し合ってくれました。子どもたちが気付き、発言し、アンケート項目をより良いもの変えよう!と取り組む姿は、まさに研究者の卵でした。その結果、実りある調査研究を実施することができました。