東京アートサポートセンターRights(ライツ)

共創パートナー

2022.11.08

障害のある人と地域が芸術活動を通してつながるプロジェクト

障害のある人が生み出す表現は、自由で思いがけない方法が用いられることがあります。また、日々くり返される行動なども、アートの視点を持てば意味のある表現であると気づくことがあります。障害のある人の芸術活動に触れることは、新しい視野と自由な発想を持ち、ひいては障害の有無に関わらず、一人ひとりがお互いに配慮をする社会につながると考えます。
東京アートサポートセンターRightsは、障害のある人が生み出す美術、音楽、演劇、舞踊などの多様な芸術文化活動を支援するために、主に5つの活動に取り組んでいます。

1. 相談支援
障害のある人の創作や表現にまつわるご相談をお寄せいただき、相談員が一緒に考え解決します。障害のある人やそのご家族、福祉関係者、行政機関、教育機関、企業など、さまざまな方から、多岐に渡るご相談をお寄せいただいています。著作権に詳しい弁護士の協力のもと、年6回ほど無料法律相談を開催しています。

2. 人材育成
障害のある人の表現活動を支える人材を増やし育成するために、研修会やトークイベント、ワークショップなどを開催しています。すでに障害者の芸術活動を支援している人はもちろん、これまで触れたことのない人も一緒に障害のある人の芸術活動支援を考える機会を創っています。

3. ネットワークづくり
人材育成や発表の機会などを通して、福祉や芸術だけでなく、まちづくりや公共施設などに関わる人々ともつながり、障害のある人の表現を支えるネットワークをつくっています。障害のある人やその家族、福祉関係者、美術館、劇場、自治体、商店街、企業、地域産業、教育機関、大学教授、アーティスト、デザイナー、演出家など、多分野の人々とつながっています。

4. 発表の機会の確保
障害のある人の作品や表現を発表する機会を創り出し、またすでにある発表の場のさらなる充実をお手伝いします。発表の機会は、これまで障害者の芸術に触れる機会がなかった人達との出会いの場でもあります。これまでに、品川区や八王子市で、福祉施設、商店会、地域産業、自然公園などに関わる人々と協力して、まちなかでアートイベントを開催しています。

5. 情報収集・発信
障害のある人の表現活動に関わるさまざまな情報を収集し、ウェブサイトやSNSを用いて広く発信しています。活動場所や発表の機会などの情報を集約したページも作成しています。

未来への宣言

障害のある人が日常生活の中でくり返し行う行動などもその人の表現として取り上げる視点を持ちながら、障害のある人への理解を促します。そして、芸術文化を通して障害者と地域の人々がつながる機会を創りだします。障害がある人もない人も、その地域に住む一人ひとりがそれぞれの役割を持つことで創られる、豊かな社会を目指します。

きっかけ

障害のある人が創作する作品に対する評価の高まりとともに、展覧会への出展をはじめ、商品へのデザイン使用といった機会が増えています。障害者の芸術活動を支援するためには、その権利保護のための相談支援体制の整備や、その担い手の人材育成に取り組むことが、障害者の権利の向上や社会参加を推進するうえで重要な観点の一つと考えます。障害のある人がより安心して創作活動に取り組めるよう、まずは相談支援体制を整備すべく、2014年に「東京アール・ブリュットサポートセンターRights」として誕生しました。当初は美術分野を支援対象としていた活動ですが、音楽や演劇、舞踊などの舞台芸術、そして多様な芸術文化活動へと支援の対象が広がってきたことから、2022年4月に「東京アートサポートセンターRights」に改名しました。

創出・支援したい共創チャレンジ

次のチャレンジを生み出します。
・障害のある人の表現活動にまつわる権利を守る支援・研修
・障害のある人の表現活動を支える人材の育成
・福祉や芸術、公共施設、文化施設、まちづくりなど様々な人がつながるネットワークづくり
・障害のある人の作品や表現を発表する機会

提供できるリソース

ネットワーク都内の福祉関係者のネットワークのほか、全国で同様の活動を行っている団体とのネットワーク
2021年度には、当センターの声がけにより八王子市において福祉施設、長池公園、八王子駅北口商店会、染工場などの人々による「かてかてアート展実行委員会」が結成されました。八王子の人々が、障害のある人の作品にふと立ち寄ったところで出合えるよう、セレオ八王子北館や八王子市長池公園自然館、カフェなどの店舗や事務所で開催。計27の会場で、160名による300点を超える作品が展示されました。
情報発信・PR当センターのウェブサイト、Facebook(フォロワー1,160人)、Instagram(フォロワー692人)
障害のある人の芸術文化活動に関する情報を発信しています。展覧会やイベント、研修会、作品公募などの情報のほか、美術展や演奏会、演劇、映画などの鑑賞サポートの情報や、障害者による表現活動を訪問取材したレポートも掲載しています。

今後の展開

今後展開したい地域都内での活動を主にしながら全国にも目を向け、多分野の人びととつながり連携をして取り組みを広げていきます。
共創を希望する方々障害のある人とその家族、福祉関係者、文化施設、自治体、商店街、企業、教育機関、観光協会、社会福祉協議会、アーティスト、デザイナー、演出家など

大阪・関西万博のテーマとの関わり

障害のある人の芸術活動を通して、「障害者」ではなくその人を知ろうとする機会が増えれば、障害の有無に関わらず、一人ひとりが個人として向き合いお互いに配慮することの大切さに気付きます。それは、SDGsの達成に貢献し、「いのち輝く未来」につながると考えます。

SDGsとの関わり

好きなことを行えることは、すべての人にとって生きる糧になります。芸術活動に関わることで、障害のある人もない人も生きがいを感じ健康的な生活を確保し、障害があることによって芸術活動や鑑賞の機会が制限されないよう、さまざまな人とつながりネットワークを広げていきます。

東京アートサポートセンターRights(ライツ)

東京アートサポートセンターRights(ライツ)は、東京都中野区にある社会福祉法人愛成会が運営し、東京都障害者芸術活動基盤整備事業の補助を受けて活動しています。
1958年の創立からご利用者様と共に地域づくり・街づくりへ寄与する取り組みを行っている社会福祉法人愛成会は、社会福祉事業を行うとともに、公益事業を担う部署として2012年に法人企画事業部を開設しました。
芸術文化を主とした活動をする法人企画事業部では、アール・ブリュット(※1)の普及啓発や誰でも参加できる地域に開いたアトリエなどを開催するほか、東京アートサポートセンターRightsを設置して(※2)、障害のある人の芸術文化活動の普及支援をしています。

※1:アール・ブリュット(Art Brut)とは、フランスの芸術家ジャン・デュビュッフェ(1901-1985)が提唱した概念であり、専門的な美術教育を受けていない人々が、内なる衝動から独自の発想と表現方法によって生み出す芸術作品を指します。アール(Art)は「芸術」、ブリュット(Brut)は「磨かれていない(加工していない)生のままの」という意味を持ち、「生(き)の芸術」とも呼ばれています。

※2:2014年に「東京アール・ブリュットサポートセンターRights」として設置、2022年に現センター名に改名しました。

お問い合わせ:

東京アートサポートセンターRights(ライツ)

TEL03-5942-7251

FAX03-5942-7252

Emailrights@aisei.or.jp