未来への宣言
健口増進による健康の増進を図り「いのち輝く未来社会」を実現する。
きっかけ
2021年9月に歯科界最大の学術大会である「第24回日本歯科医学会学術大会」が開催される。この催しは4年ごとの開催であり次回は2025年の開催が決定している。2021年の大会テーマは「逆転の発想 歯科界2040年への挑戦」であり、その趣旨は『高齢者人口がピークを迎え、多くの高齢患者の厳しい状況が予測されている2040年問題に、歯科イノベーションにより健康寿命の延伸に貢献すること』である。その具体的な手段として、2040年をゴールに据えて、歯科医療による健康寿命延伸を具現化するためのイノベーションロードマップを作成した。現在、どのような形でイノベーションロードマップの内容を世に示し、開発に興味を持っていただくかの検討を行っている。ここで示したテーマは国民に対する約束事にもなり、社会的機運づくりとしても大いに有効である。
創出・支援したい共創チャレンジ
日本歯科医学会を構成する45の分科会(歯科系学会)には歯科イノベーションを牽引する貴重な研究成果が蓄積されている。この知的資源を次の3つの分野に振り分けて活用し、歯科イノベーションを図る。これらの活動の中から適宜、共創チャレンジに登録し、その活動を支援するとともに、関連する共創チャレンジの活動を共創パートナーとして支援する。
Ⅰ 新検査・技術・治療法のイノベーション
Ⅱ 新規材料・器具・機器のイノベーション
Ⅲ 健康長寿社会の実現・フレイル対策
第1期(2019年~2025年)の具体の目標
Ⅰ 新検査・技術・治療法のイノベーション
歯周病で失われた歯ぐきの再生が可能になる
むし歯と歯周病を発症させる歯垢細菌叢が判明
歯や歯ぐきの中を見ることができる光センサー技術が実用化
スマートフォンによる舌・口腔粘膜の検査が実用化
Ⅱ 新規材料・器具・機器のイノベーション
むし歯抑制、歯を強くする機能性材料が実用化される
歯の神経と歯周組織の再生技術が開発される
天然歯に近い機能をもつ次世代バイオインプラントが開発
Ⅲ 健康長寿社会の実現・フレイル対策
オーラルフレイルの診断法と管理法が判明
オーラルヘルスのための画期的新材料(歯磨剤、含嗽剤、歯のコーティング、義歯用材料)が開発される
はめたらきれいになる歯磨き用のマウスピースが開発される
第2期(2026年~2032年)、第3期(2033年~2039年)の目標達成に向け、更なる研究展開が期待されており、2040年に歯科医療は大きな変貌を遂げ、人類の健康寿命の延伸に貢献する。
大阪・関西万博のテーマとの関わり
口の健康(健口)の増進から健康増進を目指す「2040年への歯科イノベーションロードマップ」は、いのち輝く未来社会の実現に他ならない。
日本歯科医学会
日本歯科医学会は、日本歯科医師会の中に設置された学術研究組織であり、現在25の専門分科会及び20の認定分科会を擁している。本学会は、歯科医学を振興することによって歯科医療を向上し、国民及び人類の福祉に貢献することをもって目的とする。学会会員は、日本歯科医師会会員と専門分科会及び認定分科会会員とからなり、現在の会員数の内訳は、日本歯科医師会会員64,372名、専門・認定分科会会員39,940名の合計104,312名である(令和3年3月31日現在)。