音楽を通じて、つながりを取り戻し、一緒にいること(Stand by)を感じる機会に
辛い時、孤独を感じる時、思索を重ねる時、そして、共鳴する時、いつも音楽があった。障害児施設で暮らした子ども時代、親や家族からも離れ離れ、外出もままならない暮らしだった。唯一、ベッドの中で隠し持ち込んだラジオを聴くのが楽しみだった。深夜ラジオから流れてきたのは生まれて初めて聴くロックだった。こんな音楽があるのか?と衝撃が走った。施設を出て地域の学校に進んでからも、音楽友達とレコード屋に通った。一緒に行ったフェスティバルで知ったブルース、喫茶店で本を読みながら聴いたジャズ…
音楽は世界への窓だった。世界を広げ、人とひとのつながりをつくってくれた。昨年からのコロナ禍により映画やコンサート、演劇も中止や延期に追い込まれ、今も様々な制限が続いている。施設に居た時と共通した閉塞感が社会全体に広がったような感覚を覚えた。しかし、そうした状況だからこそ、音楽をはじめとする文化芸術は生きる糧であることをあらためて痛感する。生活と切り離すことの出来ない音楽の力を感じる時間を、みなで共有したい。
日本博を契機とした障害者の文化芸術フェスティバルに向けた全国会議 副会長
Stand by フェスティバル プロデューサー 尾上浩二(DPI日本会議)