OMUTAジュニアシティメーカーの挑戦! ~大牟田市の子ども・若者が描く未来のまちづくり~
共創チャレンジ
2024.12.02
法人
チーム名 | 大牟田市教育委員会 |
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現在の活動地域 国/地域 | 福岡県大牟田市 |
活動テーマ | /// |
「OMUTAジュニアシティメーカー」の活動
「OMUTAジュニアシティメーカー」とは、子どもと大人が、対話をとおして、商品やサービスを作り、実装するまでを体験する社会参画プロジェクトです。それぞれの「対話」を大切にしながら、子ども・若者たち自身の思いや考えを具現化する力、自ら選択する力を育み、その成果を地域活性化につなげていきます。具体的には、中学生・高校生が「まちづくり」の主体となり、チームで協働しながら課題を解決するための企画・実行を行います。「OMUTAジュニアシティメーカー」が目指すものは、子どもたちが自らの思いや考えを具現化し、実際の社会活動に参画することで、自己の力や可能性に気づき、ひいては地域社会の一員としての自覚を持つことにあります。そのプロセスにおいて、対話をとおして合意形成を図ることを大切にしました。「OMUTAジュニアシティメーカー」では、年齢・性別・立場・役割など関係性の壁や領域の壁を乗り越えて、人と出会い、つながることで、人・地域・自分自身を知り、ものごとを責任をもって決定していきます。こうした体験が、これまでにない成長、可能性の発見、未来への跳躍へとつながることが、期待できます。このたび、橘中学校で4年間、取り組んできたことをベースとして、発表をさせていただくこととしました。https://www.omutabridge.org/_files/ugd/8989f8_47c4d70a3bf746bda0410baa9161d39e.pdf
第1期: 石炭をイメージした黒いシュークリーム「橘クロえもん」の開発
地域の石炭産業の歴史を取り入れた商品開発を通じて、地域資源の新たな活用法を提案しています。開発した商品は、実際に大牟田市のイベント「肉まつり」で販売しました。具体的な取り組みとして黒いシュークリーム「橘クロえもん」の開発が挙げられます。石炭産業の歴史に加え、三池港「光の航路」という地域の新たな魅力を取り入れた商品開発を通じて、地域資源の新たな活用法を提案していました。このアイデアは、子どもたち同士の議論に加え地域の洋菓子店との対話的協働を経て商品化され、地域イベントで販売され、現在も市内洋菓子店で販売されています。こうした、商品開発から販売に至る工程を体験し、他者との協力や対話の重要性を学びました。また、販売の収益は彼らの考えに基づき、地域や学校のために充てられ(発電機寄贈)、地域社会との結びつきがさらに強化されました。。https://www.omutabridge.org/_files/ugd/8989f8_73048d70d86b471f96b99feadc7ad458.pdf
第2期: 「レジェンドバーガー」「シグナルロール」の開発
橘中学校では、朝食を摂って来ない生徒が多く、課題となっていました。そこで、生徒が、この課題を解決すべく、「理想の朝ごはん」づくりについて、対話活動を始めました。その中で、「活動を通して、自分の将来像にヒントを見つけたい」「大牟田の魅力を商品で表現して、多くの人に伝えたい」という生徒の思いをふまえ、ニーズや大牟田の地域性もふまえた商品開発を行いました。そこで考案されたものが、「レジェンドバーガー」と「シグナルロール」です。「アレルギーのある同級生も一緒に食べられる栄養のある朝食を届けたい」との思いもふまえ、「レジェンドバーガー」は、大牟田市の伝統的な夏祭りに登場する「大蛇山(だいじゃやま)」をモチーフとして開発された卵を使わずに開発されたバーガーです。また、「シグナルロール」は、市内にある信号機製造業界トップの会社にちなんで開発されたフルーツロールパンです。これらの商品の広報にあたっては、新聞社やラジオ局とのコラボレーションも実現。パッケージ考案等も行い、活動の範囲が広がりました。
第3期:学校の中庭「たまりば」の考案
前身の学校から数えて、開校以来150年近い歴史を持つ橘中学校も令和6年度で閉校します。令和7年度からは、学校が再編され、「白銀中学校」として新たな歴史をスタートさせます。現在、在校生徒が中庭のレイアウト等を考案し、試案を設計会社に提案しており、その実現に向けて取り組んでいます。なお、白銀中学校の中庭の完成は、令和9年3月の予定です。
大人との協働:
彼らの柔軟なアイデアが地域全体のまちづくりを推進しています。大人と若者が一緒にプロジェクトを進めることで、新しい発想が生まれ、地域の活性化に寄与しています。「OMUTAジュニアシティメーカー」では、子どもたちが地域の大人たちとの対話を基盤にしてプロジェクトを進めることが大きな特徴です。大人たちは、子どもたちが主体的に取り組む過程に伴走しながら、彼らとの対話を通じてアイデアの発展や課題解決をサポートします。具体的には、商品開発や販売実践の際に、地域の専門家や企業が子どもたちにアドバイスを提供し、彼らのアイデアを実現するためのサポートを行いました。この対話的協働により、子どもたちは多様な視点やスキルに触れ、実社会での実践的な経験を積むことができ、地域社会とのつながりも深まりました。
対話と探求活動:
「OMUTAジュニアシティメーカー」の特徴的な要素として、「対話」を基盤としたプログラム構築が挙げられます。子どもたち同士はもとより、地域の大人たちと対話を重ねることで、自分たちの意見を伝えたり、他者の意見を聞いたりする経験を積むことができました。これにより、子どもたちは自分たちのアイデアを実現するために必要な姿勢を学ぶと共に、他者と協働することにより新たな視点や解決策が生まれることにも触れ、対話の持つ可能性を深く理解することに繋がりました。
コンソーシアムによる協働:
大牟田市教育委員会が中心となり、OMUTA BRIDGEをはじめとして、大牟田商工会議所等の複数の団体が協力してプロジェクトを進めています。各団体が異なる専門性やリソースを提供し、子ども・若者たちの成長を支援することで地域全体が協力し合って、まちづくりを推進しています。
活動を通じた成果:OMUTAジュニアシティメーカーに参加した生徒たちの多くがプロジェクトを通じて、自己表現力やリーダーシップを向上させ、次第に生徒会活動等の学校活動にも積極的に関与するようになっていきました。特に、元JCMメンバーが生徒会役員に立候補するなど、プロジェクトを通じて得た自信や経験が学校内外で発揮されています。教師や保護者からも、OMUTAジュニアシティメーカーを通じて子どもたちが成長し、学校全体の雰囲気や地域社会にもポジティブな影響を与えているとの声が寄せられています
今後の展望:
OMUTAジュニアシティメーカーは、地域の課題解決を目指すだけでなく、対話と共創をコンセプトとして、OECDが提唱している「ラーニングコンパス」において示された生徒エージェンシーを育み、大阪万博2025に向けた取組を通して、個人のウェルビーイングと集団のウェルビーイングに向けた方向性を示すとともに、若者たちが地域の未来を創る成功事例として全国に発信することを目指しています。
人材: パートナーシップ
OMUTAジュニアシティメーカーの取組を全国に広げるため、他の自治体、企業、教育機関との連携を必要としています。特に、まちづくりや子どもや若者の教育に関心のあるパートナーと共に、新たなプロジェクトを開発し、地域社会の持続可能な発展に貢献していきたいと考えています。
地方都市の子どもや若者が、まちづくりに参画するモデルを全国に発信することを目標としています。
本プロジェクトでは、教育関係者、地域団体、企業パートナー、ボランティアなど、さまざまな分野からの協力を希望しています。特に、地域活性化に関心を持つ企業や団体、教育改革に取り組む教育機関、若者支援に関わるNPO法人などとの連携を強化し、共に持続可能な地域社会の構築を目指します。
具体的には:
教育関係者
教育関係者、特に学校の教師や教育コンサルタントとの協力は、プロジェクトの質を向上させるためにとても重要です。現場で直接生徒と向き合っている教師からのフィードバックを受け、プログラムをより実践的で効果的なものに改善していきます。また、教育コンサルタントからは幅広い教育理論を取り入れ、質の高い教育プログラムを目指します。
地域団体
地域団体との共創は、地域のつながりを活かし、プロジェクトをスムーズに進めるために不可欠です。地域の信頼を得ている団体と協力し、地域イベントやワークショップを共同で実施することで、地域住民の参加を促進し、持続可能な社会づくりに貢献していきます。
企業パートナー
大牟田市内外の企業との連携も大切です。地域企業と協力することで、地域経済を活性化させ、プロジェクトを地元に根付かせることができます。企業が提供する資金や物資を活用し、地域特産品を使ったイベントなど、地域に密着した活動を通じて、企業の社会貢献とPRにもつながる仕組みを作りたいと考えています。
ボランティア
ボランティアの力を借りることで、プロジェクトの運営やイベントの実施がより充実したものになります。地域の学生や社会人を対象に、プロジェクトの趣旨を伝え、参加を促すことで、ボランティアの意欲やスキル向上をサポートします。ボランティアが主体的に関わることで、プロジェクトに対する愛着や長期的な参加を促進します。
「OMUTAジュニアシティメーカー」の取組は、大阪・関西万博2025のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に深く関わっています。若者たちが地域の未来を主体的に創り、大人たちが、子ども・若者と伴走することで交互に作用し合い、地域全体が活性化していくというこの活動は、持続可能な社会づくりにおけるモデルケースです。また、地域の社会資源の活用やSDGsの目標達成に貢献することで、万博の掲げる未来ビジョンと完全に一致しています。
大牟田市教育委員会事務局学校教育課指導室 室長 杉野浩二 0944-41-2863