誰もが楽しめる大阪・関西万博をめざして--「世界を見せる」から「世界観に触れる」へ

共創チャレンジ

2021.03.09

個人

チーム名視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)
共創メンバー広瀬 浩二郎(国立民族学博物館)/石川 昌宏(全国視覚障害者情報提供施設協会)
主な活動地域日本

私たちの共創チャレンジ

これまでの万博では「見る/見せる」こと、視覚的な情報提供が中心とされてきた。インターネット、スマホ使用が日常化する現代にあって、視覚情報の伝達のみに頼っていては万博の新たな展開は期待できない。ここで注目されるのがネットでは伝えられない情報、すなわち「触文化」(さわらなければわからないこと、さわって知る事物の特徴)だろう。
視覚障害者ならではの立場を活かし、万博にリンクするイベントを立案開催し、2025大阪・関西万博を真にユニバーサル化したい。

未来への宣言

・さわって楽しめる万博、体感型の展示・イベントをめざす。
・障害の有無に関係なく、さまざまな人々が集う大阪、多様な世界観に触れる万博をめざす。

きっかけ

視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)は2001年の発足以来、大阪を拠点として、四つの“しょく”「食・色・触・職)をテーマとする多彩なイベント企画に取り組んできた。視覚障害者はさわることを得意とする人、すなわち「触常者」であるという理念に基づき、触覚を活用する美術鑑賞・制作などにも積極的に挑戦している。
 2001年 視覚障害者文化を育てる会(4しょく会)発足。
 2011年 設立10周年記念イベント開催、記念誌の発行。
 2021年 設立20周年記念イベント開催(予定)、
      大阪・関西万博との関連をアピールするシンポジウム実施。
※毎年、春と秋に関西地区在住の視覚障害者を中心にイベントを行なっている。春は職業・生活等に関連する学習会、秋はスポーツ・芸術系の体験会の企画が多い。

取組の展開

今後展開したい地域・方法触覚をテーマとするイベントを大阪・京都で開催し、広く一般の方の参加を呼びかける。
共創を希望する方々福祉機器開発に取り組む企業、広い意味で「さわる」ことに関心を持つ個人・団体との連携を希望する。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

「いのち」を考える際、「障害」の問題は避けて通れない。とくに、「見る/見せる」ことが重視されてきたこれまでの万博では、視覚障害者が主役になるケースはほとんどなかった。
「Designing Future Society for Our Lives」という時、「Our」(私たち)とは誰なのか。意識的・無意識的に「私たち」から疎外されてきた人々は多い。「見る万博から触れる万博へ」を志向する今回のチャレンジでは、あらためて「私たち」とは誰なのかを考える。そして、“触”をキーワードとして真の意味で「誰もが楽しめる」万博を実現するための方途を探る。本会の20年に及ぶ活動の蓄積は、2025大阪・関西万博をユニバーサル化する上で参考になると確信している。

SDGsとの関わり

・質の高い教育: 視覚優位・視覚偏重の現代教育のあり方を問い直し、「接触・触発」を重視する新しいシステムを提案する。
・人や国の不平等をなくそう: 「障害」について具体例に即して学び、障害当事者の自立と社会参加を促進する。
・パートナーシップで目標を達成しよう: 「障害/健常」という従来の二項対立を超克し、すべての人が「触文化」の価値を発見・共有する社会を創造・開拓する。

■活動地域
日本/大阪・京都


■現在の活動・事業概要
運営委員は10名(視覚障害者7名、晴眼者3名)。一般会員は約80名(全国に分布)。
毎年、大阪・京都府下の公民館や図書館、あるいは国立民族学博物館を会場として、春・秋にイベント開催(各イベントには50~100名ほどが参加)。
その他、年に1度、機関誌(点字版・墨字版・音声版)を発行し、会員に配布している。

ユニバーサルな歴史体感ツアー
(奈良県明日香村にて)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■私たちにできること

技術・ノウハウ

食:目が見える・見えないに関係なく、ともに楽しめる世界を広げる(飲食業との連携)
色:ちょっとした工夫で視覚障害者が「できる」ことを増やす(支援機器メーカーとの連携)
触:視覚障害の独自性を追求する(全国の博物館・美術館との連携)
職:視覚障害者の就労の場を拡充する(視覚障害者福祉施設、盲学校との連携)

 

 

 

 

 

■ この共創チャレンジに関するお問合せ先 ■
電子メール:hirose@minpaku.ac.jp
国立民族学博物館 グローバル現象研究部 〔担当者:広瀬浩二郎〕