やどかり給付型奨学金プログラム

共創チャレンジ

2022.01.04

法人

チーム名Oneself給付型奨学金プロジェクトチーム
共創メンバー【プログラム運営団体】
NPO法人Oneself、大学生インターン(2021年度はNPO法人ドットジェイピー、KOBE学生地域貢献スクラムより参加)6名

【給付型奨学金プログラムに対する御寄付】
企業、個人
主な活動地域日本 / 兵庫
活動テーマこども、子育て、教育、次世代育成 / 地域活性化 / コミュニティ・まちづくり、住まい / 海外支援・協力、国際交流 /

私たちの共創チャレンジ

留学生が健全に勉学に励むことができる環境を提供し、コロナ禍でも「学ぶ機会」を失わない支援が必要であると考え、コロナで困窮する留学生を対象に給付型の奨学金を支給したいと考えています。
「自分に何が足りなかったのか。これではまったくわからない。」ある奨学金選考で不選考となった留学生がふとこぼした一言です。選考方法や不選考理由も何もわからないまま結果文が1枚届きました。
そんな留学生の声を聞き、これまでの奨学金選考とはまったく違った選考方法で「奨学金選考の見える化」にこだわった給付型奨学金プログラムを作りました。
第一次選考から第三次選考までの評価項目や評価点等をすべて公表します。
私たちが特にこだわっているのが二次選考です。二次選考では地域にある企業や施設に出向き就業体験を行います。(以下「留学生版トライやるウィーク」という)普段、留学生と接する機会のない企業や施設に二次選考の選考委員となってもらい、日本語でのコミュニケーション能力や活動に対する意欲や積極性等を評価して頂きます。この際の評価が二次選考の点数となります。
「留学生版トライやるウィーク」は原則として夏休み期間中にインターンシップを行います。1回で終わることがないよう、活動期間が十分確保できる夏休みが最適だと考えています。留学生はあらかじめ「自己評価シート」を記入します。このシートには今の自分が持つ「力」を客観的に評価し、受入先である企業や施設に提出します。
企業や施設の方はその「自己評価シート」を基に活動中の様子を評価していただきます。さらにNPO法人Oneselfオリジナルの「留学生評価シート」を作成します。これにはこれまでのボランティア活動や日頃の生活の様子等をまとめたいわゆる「内申書」のようなもので、普段なかなか見ることのない素の留学生、そして今までの活動の様子を詳しく知ることができます。地域の子どもや大人からの声も「内申書」に反映されるということです。
日本語学校での日々の学習の様子、地縁団体でのボランティア活動の様子。これらの評価を点数化し、点数に応じた奨学金を支給します。留学生にとっても小論文や面接の一瞬ではない自分で挑戦することができます。

未来への宣言

「外国にルーツを持つ方」といっても、留学生だけではありません。技能実習生、外国人配偶者、子ども…さまざまな方がいらっしゃいます。「日本語がうまく話せない」という共通の想いを抱えていらっしゃるケースもあれば、日本語が話せない親御さんに代わって通訳を担う「ヤングケアラー」の課題もあり、日本人家庭が抱える課題を同じように抱えているケースもあります。
経済的な理由、御家庭の事情、日本語の問題で「学び」を諦めたくない。そんな方々を地域全体で支えられるような仕組みを作りたいと考えています。地域団体、企業、それぞれの強みを生かし、地域で「学び」を支えられるよう地域連携を強化していきます。

きっかけ

NPO法人を設立したのは2014年。神戸市内に住む外国にルーツを持つ方々の支援をするために設立しました。
理事長は日本語教師として留学生と接する中で「2年生の秋」に着目しました。日本語学校の後期の学費支払いと進学先の入学金を支払いがダブルで留学生に求められます。週28時間を上限にアルバイトができる留学生にとってこの2つの支払いは大きな負担となっていました。
「何を学びたいか」ではなく「いくらかかるのか」で選ぶ進学先を見て「2年生の秋」を支える奨学金が必要だと考えるようになりました。
そのような中で新型コロナウイルス感染症が留学生にも容赦なく襲いかかりました。新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、アルバイトの解雇やシフトの減少により留学生の学費未納による退学が起こっています。学費の支払いどころか生活費さえ足りないと生活福祉資金の貸付を申請する留学生が増加しています。中には未成年の留学生が100万円を超える貸付申請をしているケースもあります。
また学校の授業がオンラインに変更され十分な授業時間や内容が補償されていないところもあります。そして2020年7月の日本語能力試験が中止になり、日本語レベルを証明する方法がなくなりました。
留学生の多くは進学や就職時に日本語レベルがどのぐらい必要か、受験要件になっていることが多いため、日本語レベルが証明できなかった彼らは卒業要件を満たしているのにも関わらず日本語学校に残留するケースも発生しました。ここでまた本来必要ではなかった学費が必要になっています。
そこでこれらの課題を解決するためにコロナで困窮する留学生を対象に給付型の奨学金を支給したいと考えました。私たちは、留学生が健全に勉学に励むことができる環境を提供し、コロナ禍でも「学ぶ機会」を失わない支援が必要であると考えています。

取組の展開

今後展開したい地域・方法まずはOneselfの活動拠点である神戸市兵庫区内でこの活動を続けていきたいです。例えば神戸市兵庫区に住むベトナム人留学生や約2000人。それは東京都新宿区に住むベトナム人人口とほぼ同じです。そんな学生の多いまち。それが神戸市兵庫区です。
新型コロナウイルス感染症が収束した後も、本来の課題であった「2年生の秋」を解決するために「給付型奨学金プログラム」を継続していきたいと考えます。
共創を希望する方々「国際交流」ではなく「多文化共生」をゴールととらえることができる方々と共に進んでいきたいと思っています。少子高齢化が進む日本にとって外国にルーツを持つ方々との共生は必要不可欠であり、もうすでに日本のあらゆる分野において外国人の方々の力を借りて生活しています。「共に生きていくための種まき」を一緒にしてくださる方々を探しています。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

大阪・関西万博のテーマでもある「いのちを響き合わせる」
個性あるいのちといのちを響き合わせ、「共鳴するいのち」を共に体験する中で、一人ひとりが輝くことのできる世界の模式図を描く。

このことから現在日本に住む外国にルーツを持つ方一人一人が、来日した当初の夢や希望と共に生きていけるようなまちをつくりたいと思っています。「多様な社会」「多様な生き方」それは外国にルーツを持つ方にとっても同じです。「自身のルーツが強みになる」そんな社会を作り上げたいと思います。

SDGsとの関わり

教育と貧困は経済的な事情から「何を学びたいか」ではなく「いくらあれば進学できるのか」という視点で進学先を考える留学生が多いです。結果、進学先が決まっても、何を学ぶためにその学校に入学するのか、はっきりとわからないままの留学生がいます。
このため「何を学ぶのか」は「どう生きるのか」という考え方と強く結びついており、「学びたいことが学べる環境」をつくる必要があると考えています。

NPO法人Oneselfが運営する「国際交流シェアハウスやどかり」から始まった留学生への支援】

私たちOneselfが留学生や技能実習生の住環境を支援するために立ちあげたのが「国際交流シェアハウスやどかり」です。神戸にいる留学生や技能実習生に安心で安全な生活をしてもらうことを目的に2015年7月にオープンした約800㎡の大型シェアハウスです。

来日したばかりの留学生や技能実習生は日本の生活ルールやマナーをほとんど知りません。交通機関の利用方法、自転車の乗り方、ごみの捨て方など生活におけるあらゆるサポートを行っています。またシェアハウスには日本人スタッフが24時間常駐しており、体調不良等の急なトラブルにも迅速に対応します。そして、シェアハウスでは定期的に防災訓練を実施。1995年阪神大震災を経験した神戸だからこそ、来日する留学生や技能実習生に対する防災教育は必須だと考え、消防団や消防署、防災教育に取り組む高校や大学とも連携し、防災訓練を行っています。

またシェアハウスとしてはめずらしい旅館業法簡易宿舎業を取得しております。2019年ワールドカップラグビーではアメリカやロシアのサポーターが滞在。留学生がスタジアムまでの交通機関を案内したり、神戸のおすすめスポットを教えたり、生活拠点を海外の方に伝えます。時には母国語で説明をする等「自身のルーツを強み」にしています。日々の生活では体験できない交流も国際交流シェアハウスやどかりの強みです。

コロナ禍の支援として食料品の無償提供や家賃が払えず困っている外国人を対象にシェアハウスの空室を無償提供しています。こういった活動をする中で食料品提供や居室提供をゴールとせず、未来に繋がる支援が必要だと考え、留学生の声を取り入れながら給付型奨学金プログラムを作りました。

シェハウスの屋号である「やどかり」は認知度が高い(Googlemapでは閲覧回数が月に4万件を超えることもあります。)ため、私たちOneselfオリジナルの給付型奨学金プログラムをより多くの方に知ってい頂くために「やどかり給付型奨学金プログラム」としました。

【参考資料】

2021年度給付型奨学金スケジュール〉

募集期間5.106.11

一次選考:書類選考(小論文及び日本語学校への出席率)

二次選考:地域活動(留学生版トライやるウィーク)期間:8.18.31のうち23

三次選考:最終面接 9.18(土)1000

地域活動(留学生版トライやるウィーク)全体振り返り:105日(火)1400

チャリティコンサートにてスピーチ発表11.13(土)1300

 

〈募集要項(抜粋)〉

 応募資格

下記の項目にすべて該当する者とします。

ⅰ 「国籍」と「ビザ」

①日本以外の国籍を有する者。

20224月以降の在留資格は『留学』で、日本国内で住所を有する者(居住予定を含む)。

③地域活動への参加及びチャリティーコンサートの参加が可能な者。

④独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)や他の団体から奨学金を受けていない者。

 

ⅱ 在籍学年・課程

20224月時点で日本国内の専門学校及び大学1年、または日本国内の大学院1年に在籍/在籍予定の外国人私費留学生(正規生に限る)。

 

ⅲ 学業・健康

学業、人物ともに優秀であり、健康である。また、日本語による意思伝達が十分可能であり、国際理解と国際間の友好親善に寄与できる者。

 

Ⅴ 奨学金と奨学期間

ⅰ 奨学金額及び支給時期

  520万円/人 ・2021年秋頃

 

〈一次選考〉

日本語学校出席率証明書の提出・小論文「日本と母国の文化の違いについて」

 

〈二次選考受入先〉

神戸トヨペット株式会社

株式会社神戸マツダ

ミズノスポーツサービス株式会社(ミズノスポーツサービス神戸和田岬)

兵庫図書館

兵庫区役所まちづくり課・国民健康保険課

〇「留学生版トライやるウィーク」の様子

〈三次選考〉

個人面接…「留学生版トライやるウィーク」での体験を基に質疑応答

 

〈評価例〉

一次選考

二次選考

三次選考

合計

支給額

出席率

小論文

地域活動

面接

99

100

68

81

87

200,000

*合計点は一次選考(出席率・小論文)・二次選考・三次選考の平均点              

〈支給の流れ〉

大学、専門学校の試験を受け、合格し、入学金支払いが決定したら「奨学金振込依頼書」を郵送かメールで送る。内容を確認し、NPO法人Oneselfは留学生から指定のあった銀行口座へ支給額として提示した金額を送金。留学生は入学金を支払い後「奨学金振込証明書」を提出。

 

【問い合わせ】特定非営利活動法人Oneself TEL 078-224-5247(担当者:中野)