私たちの共創チャレンジ
江戸時代後期、長崎にある出島に居住を限定されていたオランダ人は僅かに数十名でしたが、当時の二千数百万の日本人に多くの学びをもたらしました。現代に続く日本とオランダの交流を振り返る時、「適塾」を開き蘭学を教え日本近代化に貢献する多くの逸材を育てる傍ら、除痘館を設立し、当時の死亡率20%超と言われた天然痘の予防接種活動を実施した「緒方洪庵」の功績は計り知れないものがあります。その「緒方洪庵」の知恵を今一度振り返り、「日蘭交流史と未来に向けた知恵」を考える共創チャレンジを実現したいと考えています。
具体的には、近年、「健康」をキーワードとした木材活用に取り組んでいる大阪府木材連合会と緒方洪庵記念財団などが連携をしながら、オランダ及び日本に関連する事項と文化の相互の紹介及び理解の促進並びに両国民の友好親善関係の増進に寄与するための蘭学紹介セミナーを開催はじめとして、堺市の「みなと堺グリーンひろば」に設置されている、オランダの大工の手による巨大なオランダ風車の視察等、オランダとの交流を促進する未来志向の取り組みを共創したいと考えています。
未来への宣言
緒方洪庵と適塾の歴史、古人の知恵を通じて、日本とオランダの未来に向けた新しいパートナーシップづくりに貢献していきたいと考えています。
また、近年増加しつつある新興感染症などへの対応などを考える時に役立つであろう「古人の知恵」の発掘と活用を通じて、いのち輝く未来社会の実現を目指す共創に「温故知新」の観点から貢献したいと考えています。
きっかけ
大阪府の木材関係者を束ねる大阪府木材連合会では、「健康」をキーワードとした木材活用・木質空間づくりに取り組んでいますが、同時に、緒方洪庵記念財団や緒方洪庵の子孫との繋がりなど、江戸時代末期に日本の近代化と新興感染症対策に取り組んだ緒方洪庵とのご縁を多く持っています。
近年では、新型コロナウイルスなどの新興感染症により、社会活動の抑制だけでなく、海外とのパートナーシップ交流も途絶えがちとなる中で、大阪・関西万博の開催を契機に、改めて緒方洪庵と適塾の歴史、古人の知恵を通じた、日本とオランダのパートナーシップ推進のための取り組みが何かできないのか、ということを考え、関連団体と共に活動に乗り出しました。
大阪・関西万博のテーマとの関わり
新興感染症に世界が悩まされる現在と同様に、江戸時代末期には天然痘が蔓延し、蘭学者の緒方洪庵がこの感染症と闘っていました。洪庵は、海外で開発された予防法をいち早く取り入れ、正確な情報を発信しながらスピード感をもってその普及に努めました。海外とのパートナーシップと様々な知識の社会実装という点で、未来社会を共創する上で古人の知恵に学ぶことは多くあると思います。また、大阪・関西万博の開催地である大阪において、海外との交流と新興感染症への取り組みという過去の歴史を学ぶことは、単に過去を称賛するのではなく「いのち輝く未来社会のデザイン」実現に向けた様々な古人の知恵の活用という点でも大きな関係性を持つものと考えます。