Black Hole Recorder|Useless Prototyping Studio Project #01

共創チャレンジ

2024.03.13

法人

チーム名理化学研究所 数理創造プログラム(iTHEMS)
共創メンバーScientist:初田哲男/横倉祐貴
Coodinator: 永井智哉/和田ひとみ
主な活動地域日本
活動テーマこども、子育て、教育、次世代育成 / 科学技術、バイオテクノロジー / 文化・芸術(アート) / 循環型社会、サーキュラーエコノミー / 宇宙 /

私たちの共創チャレンジ

一見役に立たないプロトタイプ「Black Hole Recorder」の展示・体験をきっかけに、科学者の「未知への好奇心」から導き出された科学的理論・仮説が未来を一変させる可能性に触れることを通じて、科学と世界の新しい関係づくりを目指します。具体的には以下の実現を計画しています。
・「Black Hole Recorder」の万博での展示・体験を目指す
・1000年後の未来へのメッセージの録音(1000年後も持続可能な地球を考える)
・1000光年先のブラックホールに向けての録音データの発信(1000年後にいのちを繋ぐ体験)
・EXPO2025をきっかけにした新たな展示やコラボレーションへの発展
・科学の可能性を伝えるUPSのプロジェクト/新たなコラボレーションの模索

未来への宣言

【1000年後へのメッセージを吹き込む体験で、未来の地球の持続可能性を考えよう。】
「Black Hole Recorder (BHR)」では、来場者の声を録音します。その音声は、地球から一番近い1000光年先のブラックホール(BH)
に電波で発射する予定です。そして1000年後にBHに到達し、EXPO2025で集めた声が、本物のBHに記録されます。
「1000年後に届くメッセージ」を考えることは、「いま」を考えることでもあります。1000年後へのメッセージをBHRに録音する体験(1000年後にいのちを繋ぐ体験)を通じて、遠い未来を空想しながら今と向き合い、人類と科学の未来を考える機会を提供します。

【(一見)役に立たない科学技術・基礎研究の価値を、再考しよう。】
アインシュタインの相対性理論は発表当時、何の役に立つのかわかりませんでした。それから約100年が経った現在、相対性理論はGPSのズレの補正に応用されています。相対性理論がなければ、GPS衛星は1日に約11kmのズレが生じる計算になります。
アインシュタインは、GPSの開発に役立てるために相対性理論を研究した訳ではありません。科学とは、なにかの課題解決のためだけでなく、科学者の「未知への好奇心」を原動力に研究されることが多いのです。
アインシュタインの相対性理論が、約100年経ったいま様々なところで応用されているように、現在の基礎科学も、例えば1000年後の「遠い未来」を一変させる可能性があります。
未来を一変させるかもしれない新しい理論や仮説も、いまはまだ何の役に立つかわかりません。しかし、その未来への可能性は「未知への好奇心」によって切り拓かれていきます。特にいまの時代は、未来の不透明さが増⼤していると⾔われています。
そこで私たちは、⽬先の有⽤性だけに⽬を奪われるのではなく、好奇⼼に従って未来の可能性を創造することが⼤切だと考え、「Useless Prototyping Studio」というプロジェクトを立ち上げて、Black Hole Recorderを制作しました。
このような視点で、未来の科学技術を担う研究者の卵(子供への体験型ワークショップ)の視点や、科学者とのコラボレーションの可能性を最大化していく大切さを発信します。

きっかけ

一見「役に立たない」基礎研究が、遠い未来にイノベーションを起こしうる可能性を伝えたい。このような想いをもとに、理化学研究所iTHEMSの広報プロジェクトとして「Useless Prototiping Studio」は立ち上がりました。「Useless Prototiping Studio」には、未知への好奇心から科学的理論・仮説を研究する理化学研究所iTHEMSと、この科学的理論・仮説が未来を一変させる可能性を空想・イメージし、空想した未来から1つの可能性を具現化・プロトタイピングする外部のクリエイターなどが参画しています。

第一弾として、ブラックホールに関する最新の科学論文をもとに、莫大な情報量の音声データをブラックホールに保存できる未来を空想し、「Black Hole Recorder」を制作しました。現在まで、この「Black Hole Recorder」を様々な場所で展示することで、科学の可能性の一旦に触れていただく活動を行っています。EXPO2025は科学の可能性を伝えられる場として世界でも有数の場であるとともに、展示を通じて多様な方との出会いが生まれ、今後の新たな展開やコラボレーションの契機にもなると考えており、応募いたしました。

取組の展開

今後展開したい地域・方法本プロジェクトは2021年に開始し、以来、東京、京都、大分など日本各地で展示や取り組みを展開してきました。今後も引き続き、少しでも多くの方に触れていただけるよう日本さらには世界で取り組みを広げていきながら、最終的には、パラボラアンテナから録音データを1000光年先のブラックホールに向けて発信すべく進行中(パートナー募集中)です。
共創を希望する方々・研究者(サイエンティスト/エンジニアなど)
・クリエイター(アーティスト/デザイナーなど)
・ジャーナリスト(メディア関係者/記者など)

大阪・関西万博のテーマとの関わり

【「いのちをつなぐ」地球全体のサステナビリティを考えるきっかけを提供】
1000年後の未来へのメッセージを録音する体験を通じて、地球全体のサステナビリティ(SDGs+Beyond
いのち輝く未来社会)を考えたり、1000年単位での地球の未来(地球の未来や生物多様性)を考えるきっかけを提供します。
「Black Hole Recorder (BHR)」では、来場者の声を録音します。その音声は、地球から一番近い1000光年先のブラックホール(BH)に電波で発射する予定です。そして1000年後にBHに到達し、EXPO2025で集めた声が、本物のBHに記録されます。
「1000年後に届くメッセージ」を考えることは、「いま」を考えることでもあります。1000年後へのメッセージをBHRに録音する体験(1000年後にいのちを繋ぐ体験)を通じて、遠い未来を空想しながら今と向き合い、人類と科学の未来を考える機会を提供します。この活動は、地球の未来に向けたサイエンスアート活動(未来への文化共創)として継続していく予定です。

SDGsとの関わり

本プロジェクトは、一見「役に立たない」基礎研究が、遠い未来にイノベーションを起こしうる可能性を可視化することを目的としています。1,000年後の未来を変え得る「一見役に立たない」科学の現在価値を考えることは、未来の技術革新の可能性を切り開くための科学と社会との関係性を考え直すきっかけを提供する、現代の私たちにとって非常に意味のあることだと考えています。

未来は、誰にも予測できません。たとえば相対性理論は発表当時何の役に立つのか分かりませんでしたが、約100年が経った現在、GPSのズレの補正等に応用されるなど、非常に有用な役割を果たしてます。この事例のポイントは「アインシュタインはGPSの開発に役立てるために相対性理論を研究した訳ではない」ということです。
また、日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士の中間子論は、当時勤めていた大阪大学の中之島キャンパスで誕生しました。大阪発の中間子論は現代の技術革新の根幹をなす物理学の礎となっており、一見「役に立たない」基礎研究が長期的な文明のイノベーションに繋がっていることの好例にもなっています。
未来を一変させるかもしれない新しい理論や仮説も、いまはまだ何の役に立つかわかりません。いまの私たちにわかるのは、その未来への可能性は「未知への好奇心」によって切り拓かれていく、ということだけです。特にいまの時代は、未来の不透明さが増⼤していると⾔わています。そこで私たちは、⽬先の有⽤性だけに⽬を奪われるのではなく、好奇⼼に従って未来の可能性を創造することが⼤切だと考えています。

・団体HP:https://ithems.riken.jp/
・団体問い合わせ先:https://ithems.riken.jp/ja/contact
・プロジェクトHP:https://uselessprototyping.jp/blackholerecorder/ 
・プロジェクト問合せ先: uselessprototyping@ml.riken.jp