公益社団法人2025年日本国際博覧会協会
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共創チャレンジ
2024.01.22
法人
2015年に開発された「環境DNA調査」という新しい手法を用いて、川や湖などから採取した水に含まれる魚の粘液や排泄物由来のDNAを分析することで、どの種がどこにどれだけ存在するかを把握することができます。この調査方法では、対象地点で採水するだけで、人為的な活動による生態系の損失を最小限に抑えながら、水系全体の生態系を明らかにすることができるようになりました。この手法を活用すれば、漁業や水産資源保護、および環境改善活動に変革をもたらし、水産業界と環境業界の発展に大きく寄与できると考えています。 具体的には、内水面漁業協同組合と共に、IT技術を使った川の資源保護および環境改善のサービス開発を行ってきたフィッシュパスと、環境DNA調査の研究開発に初期から携わっている龍谷大学との協働で、企業向けの「環境DNA調査」の実用化を目指します。 その手始めに、安価かつ簡便に湖や河川の多地点の生態調査を定量的に実施できる、大量のサンプル分析可能な、大学の最先端の研究成果を用いた分析センターを、2024年にフィッシュパスが開設します。
私たちは、2022年12月19日にモントリオールで開催された国連生物多様性第15回締約国会議(COP15)で採択された、地球の陸域と水域の30%を2030年までに保護するという大きな目標に向けて、積極的に取り組むことを宣言します。私たちの活動(環境DNA調査を使った環境の定量化)が、生物多様性の保全と持続可能な漁業の未来が実現されることへの一助となることを期待します。
日本は地理的条件から、河川、湖沼などの淡水域に固有種が多く、他国に比べて生物多様性が豊かです。この多様性は国の財産であり、特定の場所に生息する生物の数や種類を調査する生態調査は、生物多様性保全や環境問題解決の方針策定に必要不可欠となっています。 実際、環境庁では、河川水辺の国勢調査において、従来の漁協や水産行政が行なってきた捕獲調査による生態系の把握方法より、コップ一杯の水で、低コストでスピーディーに解像度の高い観測ができる環境DNAの実装が検討されています。 国土交通省や農林水産省においても、従来の環境調査手法に加えて、環境DNA調査手法の確立を目指し、ガイドラインを出しています。しかし、現状、環境DNA調査は手法としてほぼ確立された技術であるにもかかわらず、大学や公設試等の研究機関向けの学術研究向けに実施されているのみで、企業の生態系サービスへの依存・影響を計る際に活用されるに至っていません。
「2025年の大阪・関西万博では、「Saving Lives(いのちを守る)」、「Empowering Lives(いのちに力を与える)」、「Connecting Lives(いのちをつなぐ)」の3つの“Lives”にフォーカスしています。この共創チャレンジを通じて、環境DNA調査の技術を活用し、持続可能な開発目標(SDGs)に対する取り組みを推進します。
13,気候変動は生態系に直接的な影響を及ぼし、特に水域の生物に影響を与えます。環境DNA調査を通じて、気候変動によって影響を受けた生物の変化を調査し、その影響を最小限に抑えるための対策を講じることができます。 14/15,特に内水面と沿岸域、陸域での生物多様性の保全に寄与し、持続可能な漁業や水産資源の管理に役立ちます。
お問い合わせ先:0776-67-7335(株式会社フィッシュパス 中谷まで)
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