ぶらり大阪景観ウォーク

共創チャレンジ

2023.11.13

法人

チーム名まちあるきワーキング
共創メンバーぶらり大阪景観ウォーク
主な活動地域日本 / 大阪
活動テーマコミュニティ・まちづくり、住まい /

私たちの共創チャレンジ

景観的に優れた、新しい建物や歴史的建造物、橋や樹木等はいずれも、地域の景観を特徴づける重要な役割を担っています。
こうした景観形成上の大切な資源を大阪市では「大阪市都市景観資源」として登録しています。
一般社団法人大阪府建築士事務所協会では、毎年1回一般市民の参加を募り、「大阪市都市景観資源」を主体とした様々な建物等を建築士の視点で紹介するまちあるきイベント『ぶらり大阪景観ウォーク』をおこなっています。
2023年度は共創チャレンジの一環として、此花区・大正区の渡船場や舞洲を巡り、咲洲庁舎展望台でEXPO2025会場の現状を紹介する計画を進めています。
今後も普段何気なく見ているまちの景観のすばらしさを一人でも多くの方々に知っていただき、地域の景観づくりの中で積極的に活用し、未来の景観デザインとして継承していくための活動を続けていきます。

未来への宣言

大阪市より景観行政団体の指定を受け、景観の保全・整備を図る活動の一環として2008 年から始めた『ぶらり大坂景観ウオーク』は、すでに12 の区や地域について学習し、参加いただいた多くの皆様に紹介しつつその地域の隠れた魅力を発見し共有してきました。
都市化の進む大阪市内を歩くことによって、歴史を感じることのできる建物や景観に出会い、変わりゆく住宅地や商店街の中で、多くの人の生活の知恵を教えられます。大通りから一歩中に入ると静かな住宅地があり、生け垣の緑や路地の草花を楽しみ、古来の建材で建てられた建物が並ぶ空間には安らぎがあります。そこで暮してきた人達とこれから暮す人達が、この街をどのように住みこなしていくのか等々、景観ウオークに参加される皆様と思いを分かち合ってきました。
市の中心部には、大阪城を中心に近代的な建築群があり、そのような建物を見て歩くのも楽しい企画です。建物が建築されるには必ずその動機と目的があり、多くの人達の手を通して建造され、長い年月使用されるのですが、そのような建物の解説を聞きながら歩くことも良い学びです。ビルが立ち並び車の忙しく走る道路と並んで、街路樹や公園や杜の緑を眺めながら、ゆっくり散策と見学をすることのできる都市空間、子供連れやシニアも日常の街歩きを楽しむことのできる都市空間、そのような街へと整備が進められることを願います。
2023 年度の企画は、共創チャレンジの一環として此花区・大正区の渡船場や舞洲を巡り、咲洲庁舎展望台でEXPO2025 会場の現状を紹介します。水都大阪の玄関口である大阪港は、古代より海上交通の要衝の地として世界に繋がってきました。港の全貌を見る機会はなかなかありませんが、今回は昭和~平成にかけて埋め立てられた舞洲・夢洲・咲洲を含む大阪湾の全域を巡ります。
コンテナ船や客船が行き交う海を臨む、豊かな水と緑の美しい港、沈みゆく夕日を眺めて過ごすことのできる港、ビルが立ち並ぶビジネス街の中の安らぎのある都市空間、日常を支える住環境の整備、これからも共に幸せに暮らしていける都市づくりに貢献できることを目指して、私達の『ぶらり景観ウオーク』の働きを進めていくことを宣言いたします。

きっかけ

一般社団法人大阪府建築士事務所協会は2006年に大阪市より景観行政団体の指定を受け、
景観の保全・整備の一層の推進を図る活動の一環として2008年から『ぶらり大阪景観ウォーク』を始めました。
毎年50名を超える方にご参加頂き、これまでに大阪市24区中12の区や地域を紹介してきました。
建築士ならではのこだわりの解説や、普段入ることが難しい建物の内部を紹介できることなどが人気の理由だと考えています。
参加者からのアンケートでは、「大阪にまだこんなところがあるなんて驚きました」「ディープな○○区が好きになりました」「説明を聞かなければ見過ごしてしまう興味深い建物があることを知りました」などと好評を頂いております。
「第12回東住吉区編」は2020年春に開催予定でしたが、コロナ禍により延期となり2021年夏に初めての試みとしてYouTubeにまちあるき動画を公開しました。2年がかりで企画・撮影・編集ともWGメンバーでおこない、計19本・総収録時間120分の素人感満載のYouTube動画が出来ました。
普段何気なく見ているまちの歴史や見学先の特徴を調べることは楽しく、我が町での新しい発見は私たちWGメンバーにとっても醍醐味です。その感動を多くの方々に伝えたくて「まちあるき」活動を続けています。

【これまでのぶらり大阪景観ウォーク】
①船から中之島を見る(2008)、②北区(2009)、③中央区(2010)、④西区(2011)、⑤住吉区(2012)、⑥港区(2013)、⑦平野区(2014)、⑧天王寺区(2015)、⑨福島区(2016)、⑩阿倍野区(2017)、 ⑪浪速区(2018)、⑫東住吉区(2019中止、2020web)

取組の展開

今後展開したい地域・方法『ぶらり大阪景観ウォーク』をまだ開催していない地域は、市内に多数あります。今後開催する方法についても、その時に適したやり方で、 「まちあるき」だけに拘らず、毎度工夫を重ねて、参加者と関係者が感動できる体験を、共に創る場にしたいと考えています。

『ぶらり大阪景観ウォーク』は、年に1回の行事ですが、準備期間に、スタッフは開催する地域へ足しげく通い、景観資源を結ぶコース選定、各所の歴史・建築的テーマから、当日案内できる資料作りを行い、丹念にプログラムを練り上げます。景観資源を通して、その地域を理解できる最適な方法であると思います。また、その地域の人々と共創することにより、私たちの活動と、地域の活性化に繋がると考えています。

① 『ぶらり大阪景観ウォーク』をまだ開催できていない地域を選ぶ
・淀川右岸地域(淀川区)
・市内東部(鶴見区、旭区、城東区、都島区、東成区)
② もう一度同じ地域を、テーマ・手法を変えて訪れる
・街道筋から(御堂筋、戎橋筋など)
・川沿い、堀端から
③ 大阪府下の景観資源も併せて活動範囲を拡げる
④ 動画作成・映像ライブラリーの構築
共創を希望する方々・新しい建物や歴史的建造物、橋や樹木等の景観に興味がある方。
・「大阪市都市景観資源」に登録された所有者、取り組む関係者。
・イベント「ぶらり大阪景観ウォーク」を応援してくださる方。
・大阪府で設計事務所を開設されている方。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

 「いのち輝く未来社会のデザイン」が大阪・関西万博のテーマです。未来において人間が最大限の可能性を求めて生き方を考えていこうというのがその内容となっています。

 私たちの景観ウォークでは、「大阪市の都市景観資源」を紹介しています。景観に優れた新しい建物や歴史的建造物、橋や樹木で市民から認められたものを都市景観資源とされています。そうした都市景観資源を歩きながら観て触れて、一人でも多くの方に知ってもらい、積極的に活用して頂こうという事を目的の一つとしています。

 案内を行った建造物の中には、「長屋を新しく店舗として再生している。」、「商店街を若い芸術家の表現の場として提供している。(浪速区新世界市場)」など、過去・現在の形状を残しつつ、未来において新しい形で利用しようとしているものが多々ありました。

 現在残っている景観的に価値のある「建物、橋、樹木」を未来において最大限に活用することを皆さんに考えてもらえるようにしていこうという我々のテーマは、大阪・関西万博のテーマにも共通しているのではないかと考えます。

SDGsとの関わり

まちを歩くと所々に長屋が残っています。景観ウォークではよく長屋を紹介しています。平野区、福島区、阿倍野区、生野区には多くの長屋が残っています。長屋は、江戸時代に借家として作られ、明治、大正、昭和にかけて形状を変えていった伝統的な都市住宅です。阿倍野区では、大正の終わりから昭和の始めにかけて耕地を整理し宅地造成を行い、たくさんの長屋が建てられましたが、時代の変化により、建て替えが進んでいます。しかしながら、店舗として復活した長屋も多くあり、そのような長屋を紹介した事もあります。こうした長屋が残る事によってまちなみの良さがある事を一般の方にお伝えする事で少しでも伝統的な建物の建て替えの抑止になればと思っています。

平野区では、JR平野駅周辺の平野郷にて大阪市のHOOPゾーン事業を用いて改修された長屋が多く存在しています。当時の事業の代表者から事業の講演をして頂き、町の歴史ある建物を残していく活動を紹介しました。

商店街も紹介することがあります。長屋同様、時代の変化により衰退している商店街もありますが、浪速区の通天閣の近くにある新世界市場は、毎週日曜日にWマーケットというイベントを開催しており、その日だけはシャッター街に賑わいが戻ってきます。Wマーケットでは、若い人たちが中心になって新世界市場を上手く残していこうとする姿をお伝え出来ました。

変わりゆくまちなみに対して、残していきたい建物、自然を紹介し、古きよきものを大切にして頂けるようにとの思いで活動を行っています。「建物を造った人又は受け継いだ人がその建物に対し責任をもって維持・管理していく事の大切さ」を、案内する私たちが感じ、伝えていく事は、私たちの活動の目的の1つです。

一般社団法人大阪府建築士事務所協会事務局 

06-6946-7065