私たちの共創チャレンジ
着物は日本の四季や自然と深く関わり、長い歴史の中で受け継がれ、育まれてきた世界に誇れる日本の文化です。そして、着物は「染織(せんしょく・染めること織ること)」の技術から成り立っています。
数十年に及ぶ生活様式の変化による着物離れはありますが、成人式・卒業式・七五三などには振袖や袴(はかま)等、節目行事の着物は根付いており、また、観光客を対象とした着物・着物ドレス・着物リメイク等、多様化し、新たなスタイルも発信されています。
ただ、化学繊維・化学染料などの新たな技術が次々と開発される一方で、伝統的な技術が失われつつあります。
現在、染織の技術は世界最高峰に達しておりますが、今後、創作に必要な材料・道具・人材など、急速に減少していくことが危惧されております。
着物には、振袖や袴、黒留袖以外にも、訪問着・付下げ・紬など様々な種類があります。また、全国に染織の産地や素晴らしい技術があります。
・これらの染織技術で作られた着物を日本人だけでなく世界中の方々に知っていただくために
・職人の高齢化や後継者不足により、たくさんの素晴らしい技術が知られないまま失われていくことを防ぐために
・新しい技術と伝統技術と融合し、職人による着物や帯(反物)づくりにつなげるために
・この素晴らしい技術を再認識して守り続けるために
・未来の子どもたちに、日本の衣装文化をつなげるために
その魅力を世界に向けて発信していきます。
また、今後の活動としては、下記を計画しております。
・着物お出かけ会の実施 … 歌舞伎・能などの観劇、食事会など、着物を着て出かける機会を作る
・着物撮影会の実施 … 着物を着ての撮影、着こなしワンポイントレッスン、等
・染織技術の工程の写真・動画撮影と説明文添付によるInstagram等のSNSへの掲載
・染織技術ごとの講師を招いての親睦会・勉強会 (例) 大島紬の会、等
・各産地や織元とのコラボレーションによる情報発信、等
未来への宣言
着物について、全国の産地の染織技術や着物に関わる全ての技術が世界中に周知され、これらの様々な技術が継承され、その着物や帯を身につける未来を実現していきたいと考えております。
きっかけ
10年間着物講師をしてきて、京都の西陣をはじめ、石川の加賀友禅、福岡の博多織など、あちこちの産地を訪れました。そして、その都度、妥協することなく、その時々の可能な限りの美を追及したモノづくりをする職人の方々に畏敬の念をいたぎ、作品に魅了されました。それと同時に、後継者不足などの問題点を身近に感じました。
この着物のすばらしさや美しさをどうすれば知ってもらえるのかを考え、まず、着物を着る人を増やし、着物を着る楽しさを知ってもらえるように、歌舞伎・日本舞踊・狂言等を観に行くなどの着物を着る機会を多く作ってきましたが、限界を感じていました。
そんな時に、同じ想いを持つ仲間と出会い、職人の素晴らしい手仕事による着物を未来の人々につなげるための方法が少しずつ明確になり、また、今回の万博のテーマがピッタリであることから、世界中に情報発信をするには、これが一番良いのではないかと思いました。
また、着物業界には色々な繋がりがありますが、利害がないところで活動することで、純粋に着物や帯の技術の情報発信ができるのではないかと思い、非営利団体「絹の糸」を作り、今回の登録に至りました。
大阪・関西万博のテーマとの関わり
小さな蚕のいのちが紡がれ、野山の草木で染められ、美しい糸になり、その糸を様々な技法で丁寧に織り上げて着物は作られます。
着物は古来から、母から子へ、子から孫へと何十年も大切に、今注目されているサステナブルな営みを繰り返して受け継がれてきました。
いのちを紡ぎ(蚕から糸へ)、いのちを輝かせて(染・織により着物へ)、未来に(母から子へ)つなげる、まさに着物は万博テーマそのものです。
大阪・関西万博で、着物文化を関西から今こそ世界に発信する時だと考えます。