“わたしはここにいます”

共創チャレンジ

2023.07.18

個人

チーム名Team 帆ノ大海
共創メンバー髙橋健大(介護士) 本間あゆみ(介護士)

星野暢 (作業療法士) 

ナースプロ訪問看護ステーションぱれっと

雲下加奈
國友勇吾(映画監督・映像ディレクター)
島田隆一(プロデユーサー・映画監督・日本映画大学准教授)
西晶子(リガード/映画配給・宣伝)

西村秀勝  西村理佐
主な活動地域日本 / 埼玉
活動テーマこども、子育て、教育、次世代育成 / 健康・医療(ライフサイエンス、ヘルスケア) / コミュニティ・まちづくり、住まい / ダイバーシティ、インクルーシブ / 人権 /

私たちの共創チャレンジ

わたしは西村帆花(にしむらほのか)、2023年春から特別支援学校の高校生。さいたま市で両親と暮らしています。
生まれた時から人工呼吸器を付けて、痰の吸引や管からの栄養などさまざまな医療的ケアが必要です。
わたしの医療的ケアは個別性が高く頻回であるため敬遠され、
利用できる福祉サービスは少なく、支えてくれる人がなかなか見つかりません。
それでもわたしは家で両親と共に暮らすことを選んでいます。
この選択を尊重し、いつもきもちを汲みとって、さまざまなケアや日常の手助けをし、一緒に生きてくれる人を探しています。
そして、わたしが”ここにいること”をたくさんの人に知ってもらいたいです。
助けてもらうばかりでなく、わたしが”ここにいること”で、
あなたの暮らしや生き方に関わらせてください。
わたしの隣人になってください。
わたしをあなたの隣人にさせてください。
そうすることが法律や制度では解決できない''生きにくさ''を和らげたり、
聞き入れられることの無いマイノリティの声を届ける鍵になればと思います。

未来への宣言

世の中にはいろいろな人が暮らしています。わたしたちは今、さまざまな”多様性”を知っている最中です。
でも、一人ひとりの”ちがい”を知り尽くすことはできません。
帆花と同じような「医療的ケア」というニーズがある子どもも、
それぞれがそれぞれの人生を歩んでいて、ひとくくりにすることはできません。
また、マジョリティーがえらいのではないし、マイノリティーだけが”当事者”ではありません。
この世の中で起きていることは全て”わたしたちのこと”です。
何かのご縁で知り合ってしまったばっかりに、
その人の抱える”生きにくさ”を”自分事”としてとらえ関わり合っていくこと、
その関係こそが「誰もが暮らしやすい世界」です。

きっかけ

帆花は生まれてくるときに臍の緒の中の動脈が切れて心肺停止。
その後蘇生しましたがさまざまな障害が残り、生きていくためにさまざまな医療デバイスを付けることになりました。
2008年、生後9か月で自宅に帰って生活することになりました。しかし、当時はこのような重度の子どもの存在は世に知られておらず、
自宅で過ごすために必要な制度や支援体制においても黎明期でした。
時は経ち2021年、全国に2万人以上いるとされる医療的ケア児とその家族を支援する法律「医療的ケア児支援法」が成立。
しかし成立以前と同様、医療的ケア児のなかでも「超重症児」に分類される帆花のような子どもの少数ニーズは把握すらされません。
法律や制度はいつだって誰かをとりこぼします。
とりこぼされた人が、毎日いのちをつなぐことにすら困っていることを、なけなしの声を振り絞って訴えたとて、
少数であることから聞いてもらえず無いことにすらされてしまいます。
どんなに深刻で急を要するニーズであってもです。
しかし、いのちはいつもそこにあります。
帆花のように「超重症児」と呼ばれるこどもだけでなく、
さまざまな特殊ニーズやマイノリティと呼ばれる人たち、
その声が届かず存在すら見えないものにされてしまいそうな人たちがいます。
その声の中身はきっと難しいことではなく、
”わたしはここにいます”!

取組の展開

今後展開したい地域・方法わたしの、まわり。

わたしの存在、毎日の生活、様々な医療的ケア、生きる上で困難なことなどをSNSを通じて発信します。
映画「帆花」監督:國友勇吾2021年 文部科学省選定 を通じて「いのち」について考えてもらうきっかけを作ります。
 
そして大好きな家で暮らし続けられるよう、地域の医療・介護・福祉・学校関係者と協力していきます。
わたしの暮らしを実際に見てもらい、資格取得を希望される方の医療的ケアの見学できる場所とし、支援者を増やしていきます。
地域住民の方々にわたしの存在、医療的ケアのことなどを知ってもらいます。
それらの実践の過程で、重度障害児者が施設入所だけに頼らず多様な生活スタイルを選択できるような支援のかたちを見出していけたらと思います。



あなたの、まわり。

わたしのことを知ってくれたあなたのまわりで、わたしのように支援を必要としている人たちの存在を知って下さい。
共創を希望する方々ここでわたしに出会ってくれた、すべてのひとたち。

毎日わたしをたすけてくれるひとたちと、地域のひとたち。

医療、福祉、介護、教育に携わるひとたち。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

「いのち輝く未来社会のデザイン」つまり、「人間一人ひとりが、自らの望む生き方を考え、それぞれの可能性を最大限に発揮できるようにするとともに、
こうした生き方を支える持続可能な社会を国際社会が推し進めるもの」、という大阪・関西万博のテーマを具体的なチャレンジに言い換えます。

《わたし西村帆花は、いま時点で「超重症児」にラベリングされているだけで、必要な医療やケアを安心して受けられる状況にありません。
しかし、そのことを誰かの何かのせいにするのではなく、”わたしという存在”を毎日一生懸命に生きることで主体的に社会と関わります。
そしてたくさんの人と出会い、たくさんのこと共に経験し、信頼する支援者をみつけて自立した生活を送るという望みを叶えます。》

SDGsとの関わり

あらゆるレベルでものごとが決められるときには、実際に必要とされていることにこたえ、とり残されるひとがないように」という「すべての人に平和と公正を」。
このことが毎日の暮らしの中の小さなことにおいても実践されることを望みます。
どのようないのちであってもそれぞれが固有の人格であり、たとえことばでのコミュニケーションが難しくとも本人の意思が尊重されることを望みます。

以前、特別支援学校の授業で「トントン相撲」をしたときに自分の四股名を考えました。その時に自らの名前に込められた願い、

「大きな帆を張って逞しく大海原へ出ていくことができるように」「花のようにみんなに愛されるように」という願いを思い出し、

「帆ノ大海」に決めました。帆花が"ここにいること”で社会と関わり、世の中という大海原で自分の願う人生を歩むことができるようになれば、

この世界は信頼に足る、と思いチーム名としました。

honokaasan@gmail.com