私たちの共創チャレンジ
私たち西成WAN(Nishinari Wall Art Nippon)は,心無い落書きを消して,地域の子どもたちや住民にも参加してもらい,プロのアーティストが本気でウォールアートを描き,それを見に来る人たちを地域へ呼び込み,人が集い賑わうことで街の安全や安心を高めようと,2014年秋から大阪府大阪市西成区を中心に活動を展開してきました。街づくり活動であると同時に,アート活動でもある西成WANは,ウォールアートやストリートアートの認知を高めて,アーティストたちが活躍できる機会を増やし,西成からウォールアートを日本全国へ広めよう,という目標も掲げてきました。
総合プロデューサーで西成区出身のラッパー,SHINGO★西成の呼びかけで,これまで何人ものアーティストたちがボランティアで参加して,西成区のあちらこちらのストリートに数々の作品を残してきました。私たちの想いは,SHINGO★西成の西成WAN応援歌『ここから… いまから』(https://www.youtube.com/watch?v=ebkaDKzjHk4)に込められています。自分たちのまちは自分たちでつくる,今できるコトを今できるヒトが,まちをキレイにこころをキレイに,アセラズ クサラズ アキラメズ。
未来への宣言
これまで私たちは,大阪府大阪市西成区を中心として,心無い落書きだらけの壁や殺風景な壁に,プロのアーティストと地元の子どもたちが協働して,本気のウォールアートを描いてきました。私たちの目標は,アートを描くことで,外からこの街へ来る人が増えて賑わいが創出され,そうした人たちの目で地域に安全や安心がもたらされ,アート作成に参加した子どもたちに自分たちの街への愛着を高めてもらうことです。私たちはこの活動を通じて,ウォールアートやストリートアートの日本におけるステイタスを高め,アーティストたちが活躍できる場を西成発で日本全国へと広げていきたいとも願っています。
私たちが目指す未来は,自分たちの街がどうすれば持続可能な発展を達成できるのか,ウォールアート制作に主体的に参加することによって,参加した一人一人が地域の課題と真摯に向かい合い,その解決に向けて実践し始める社会の実現です。変わらない状況を嘆くだけでは進歩はなく,変えようとする情熱と実践が大切です。志を同じくする仲間を集めて,できるコトから,できるヒトがやり始める,そんな社会が理想です。
きっかけ
西成WANは2014年秋から子どもたちとのワークショップを始めて,2015年1月に第一弾「ここから いまから」を完成させて以来,2022年9月実施の第11弾まで,西成区内のあちらこちらのストリートに数多くの作品を残してきました。2015年9月完成の第二弾「アセラズクサラズアキラメズ」は,高さ7m幅70mという巨大な傑作で,地域の名所になっていました。しかし残念ながら,ストリートアートのはかなさ,街の新陳代謝の波のなか今はもう壊されて存在しません。活動を始めて9年が過ぎ,西成WANは地域の人たちから,応援していただける存在へと成長しました。第一弾を手伝ってくれた小学生たちも,今では中学生や高校生となって,アートの現場へ応援に来てくれます。
大阪・関西万博のテーマとの関わり
「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマと関連して,私たちの活動は,以下のような関りがあります。
地域の子どもたちと協働してアート作品を完成させることによって,子どもたちのつながりを強め,アートを描く過程で地域との対話やつながりも強め,この地域にいま生きていることを実感できます。これは「いのちを守る」というテーマと関わります。
その場所でなければ存立し得ないウォールアートを考えることによって,参加する人たちの創造性が刺激され促進されます。これは「いのちを高める」というテーマと関わります。
アーティスト,地域の子どもたち,それを支援する人たち,多様な人たちが協働することによって,お互いがお互いの存在を認め合い,尊重しあって響きあうような関係性が築かれます。これは「いのちを響き合わせる」というテーマと関わります。