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3つの無価物から有価物へ 有機堆肥による地域循環
Co-Creation Challenges
2024.06.24
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Corporation
Team Name | 山神果樹薬草園と浜田農園 |
---|---|
Co-Creation Members | 松山油脂株式会社 |
Country / Region | 日本/徳島県 |
Theme of Activity | /// |
山神果樹薬草園は徳島県でただひとつの村、名東郡佐那河内村(さなごうちそん)にあります。
和柑橘の栽培や有用性を研究しながら、精油や飲料・食品、酒類の製造をしています。柚子、すだち、伊予柑など、和柑橘を丸ごと使いきる、そのために独自の丸ごと皮削り®製法で、和柑橘の外皮、果汁を含む果肉、内皮、袋・パルプ、種子に分け、外皮からは精油を、果肉からは果汁を搾り、種子からは肌の保湿成分となるエキスを抽出しています。搾汁残渣となる外皮、内皮、袋・パルプ、種子は全体の平均76%も占めており、一般的に大半が産業廃棄物になっています。山神果樹薬草園では、丸ごと使いきる方法を模索し、搾汁残渣を氷砂糖漬けにしてコーディアルにしたり、酵母ときび砂糖と混ぜ込んで発酵、蒸留してリキュールにしています。そして最終残渣は農園内のコンポストハウスで、シイタケ廃菌床や竹パウダーと発酵させることで有機堆肥にしています。
有機堆肥の開発には、相当の時間をかけました。有機堆肥は、原料となる和柑橘搾汁残渣に発酵を促す副資材を混ぜ合わせ、発酵・熟成させてつくります。開発当初、副資材として、牛糞・もみがら・鶏糞などを試したものの発酵が進まず、有効と思われた米ぬか・おがくずは安定的な入手が困難なため活用を断念しました。有効な打ち手がなく、手詰まりになりかけていたところ、スタッフの知人から浜田農園の紹介を受け、はじめてシイタケ廃菌床半熟堆肥の存在を知りました。
浜田農園は、佐那河内村から車で30分の小松島市にあるシイタケ農家です。シイタケの栽培に不可欠な菌床は、広葉樹の原木チップ、ふすまと呼ばれる小麦の皮、ホタテの殻を粉砕した炭酸カルシウムなどを釜で焚き、ブロック状に成型してつくります。そこにシイタケ菌を植え付けて約120日後にシイタケを収穫します。菌床は通常、シイタケ収穫後に産業廃棄物となりますが、浜田農園では、堆肥原料として活用すべく半熟堆肥に加工しています。
これまで、様々な副資材を試しても発酵が進まなかった和柑橘搾汁残渣でしたが、浜田農園のシイタケ廃菌床半熟堆肥と竹パウダーを混ぜ合わせたところ順調に発酵がすすみ、ついに堆肥化に成功しました。堆肥の開発をスタートしてから既に1年が経過していました。
また、もうひとつの副資材である竹パウダーは、放置竹林を切り出し粉砕してつくりますが、和柑橘残渣の水分吸収材として非常に有効で、含まれる乳酸菌によって和柑橘残渣の堆肥化を促進する機能があります。放置竹林は景観を害するだけでなく、周辺の植生を侵食して成長を阻害することから、生物多様性の観点からも大きな課題を抱えています。竹害は徳島県全域において深刻であり、次世代に豊かな自然環境と里山を残すためにも、放置竹林の適切な管理が必要です。
このようにわたしたちは、和柑橘搾汁残渣、シイタケ廃菌床、放置竹林の竹パウダーという、地域内で処理が課題となっている3つの無価物から有機堆肥をつくり、土に還し、土地を肥沃にし、再び果実を育て収穫する、持続可能な活動を行っています。
今後、山神果樹薬草園の事業規模拡大に伴い、和柑橘残渣の量も増えるため、堆肥化のために不可欠な副資材、特に吸水材として活用する、竹チップ・竹パウダー・おがくずなどの有機資材の調達にご協力いただける事業者様との連携や、同様の課題を持つ、県内外の農業従事者の方々との繋がりを通して、活動の幅を拡げていきたいと考えています。
四国四県、および広島県・岡山県・兵庫県にて同様の課題を持つ農業地域
放置竹林の竹チップおよび竹パウダー、柑橘剪定枝、おがくずなど、水分吸収材として有効な有機資材の調達に協力いただける事業者様
山神果樹薬草園は、東京都墨田区の石けん・化粧品メーカーである松山油脂が、自社製品に使用する和柑橘精油の安定調達を目的に、徳島県佐那河内村に設立した果樹農園です。全てを無駄なく使い切り、再生と循環を繰り返しながら里山を元気にすることを理念として掲げ、事業を行なっています。自社栽培に加え、周辺農家から集めた、キズや規格外などの理由で出荷されなかった和柑橘から製品をつくり販売し、最終残渣も、浜田農園との共創により、有機堆肥にして活用することで、果実を丸ごと使い切っています。地域内で共創し、地域の課題を解決し、使われなくなったモノに新たな価値をつけて生まれ変わらせ循環させる活動は、「いのち輝く未来社会のデザイン」に資すると考えます。
お問い合せ:https://www.matsuyama.co.jp/en/contact2
e-mail : info@matsuyama.co.jp