国立大学法人 大阪大学 産業科学研究所

共創パートナー

2021.06.08

産業・科学・市民社会の共創プラットフォーム形成:未来社会の課題解決に資する技術の創成

・「いのち輝く未来社会に必要な課題解決と未来を担う技術を繋ぐための共創プラットフォーム」を形成します。
・共創プラットフォーム形成のため、現時点において想定される以下の取り組みと支援を行います。
(1) 阪大産研が独自に持つ材料、情報、生体、ナノテクノロジー分野の「未来技術」を未来社会に実装・発信するための取り組み
(2) 社会課題解決主導型で未来社会を担う革新的なシーズ技術の実装先を見出すため、産業界および地域社会との相互理解と対話を促進するための取り組み
(3) 阪大産研が80年余りにわたり外郭団体と培ってきた独自の産学共創プラットフォームを通じて、未来社会の課題解決の障害を乗り越えるための検討の場づくりの支援
(4) 日本国内はもちろんのこと、オープンイノベーションの先進的担い手であるベルギーimec、オランダ・グローニンゲン大学・Holst Centreなどの海外研究機関・大学などを核とした多数の国際連携実績を活用し、共創の成果等を世界に向けた発信

未来への宣言

「産業界に必要な自然科学の基礎と応用」を80年余りにわたって担ってきた研究機関として、(1)SDGsを人類の未来可能性(Futurability)を実現する重要な指標と位置づけ、その達成に貢献するだけでなく、(2)2025年大阪・関西万博においていのち輝く未来社会の様々な局面を具体的な地に足の着いた技術をもって示し、(3)2050年までに「いのち輝く未来社会」に必要な社会課題解決に必要な持続可能な共創プラットフォームを形成します。

きっかけ

阪大産研は、1939年に関西に地盤を持つ産業界の寄付により堺市で産声を上げました。それから80年余りにわたり、その時代ごとに求められてきた社会課題解決の試みを重ねながら、産学連携と共創を紡いできました。阪大産研は、大阪・関西の産業界と市民社会に育てていただいた現在までの歴史を常に意識しながら、優れた研究シーズを事業化して社会へ送り出し、その成果がまた基礎研究に戻り、磨き直して社会に送り出し、より良い未来社会を創る好循環を持続可能なものとしていきます。2025年大阪・関西万博は、阪大産研を育ててくださった大阪・関西を共創の場の主軸として、世界にいのち輝く未来社会の実現を、地に足の着いた技術を伴った形で示すことができる貴重な機会だと考えています。そのため、共創パートナーとして様々なチャレンジや社会課題解決に取り組みます。

創出・支援したい共創チャレンジ

開所以来、実践してきた産業界や社会との共創をベースとしながらも、SDGsという世界共通の持続可能性プラットフォーム、いのち輝く未来社会に関する世界的な課題と技術課題の趨勢という視点に立脚し、これまで主たるパートナーであった産業界にとどまらず、多様な利害関係者に共創の輪を拡げながら、関西の研究開発機関として多様な共創チャレンジとの連携を図ります。
さらに、阪大産研発の「アイポアAI粒子識別システム」、「フレキシブルエレクトロニクス技術」、「材料からIoTまでを包括するワイヤレスな電気校正システム」、「自発光植物(Light-Emitting Plant: LEP)」、「配線不要の無電源・高感度モーションセンシングシステム」などの様々な構想・実装フェーズにある技術的な取り組みを共創チャレンジとして登録し、支援します。

提供できるリソース

情報発信・PR90回以上の開催実績がある定例会見などの広報システム、外郭団体である「大阪大学産業科学研究協会」との連携による多種多様なイベントにおける情報発信
ネットワーク産学連携ネットワークを担う産研戦略室、外郭団体である「大阪大学産業科学研究協会」との連携による企業・大学・研究機関への仲介・ネットワーク形成
ネットワーク阪大産研-東北大多元研-東工大化生研-九大先導研-北大電子研がネットワーク型共同利用・共同研究拠点を形成済であり、多種多様な課題解決に対応可能
技術・ノウハウ材料、情報(AI)、生体とナノテクノロジー・ナノサイエンス分野にわたる世界最先端の知識、技術とノウハウによる研究開発、事業化事例を多数所有
人材開所以来80年余りの歴史が培ってきた産学連携人材、多種多様な産業界と科学の課題解決を繋ぐ専門組織(産研戦略室)を有しており、幅広い相談対応が可能

今後の展開

今後展開したい地域阪大産研における大阪・関西万博への参加体制整備を担当する「戦略室」をハブとして、科学者が持つ様々な研究シーズを産業界や地域社会が持つ社会課題の解決につなぎます。さらに、外郭団体である「一般財団法人大阪大学産業科学研究協会(阪大産研協会)」が持つ産業界・地域社会とのつながりの場を活用します。阪大産研が持つこれらのプラットフォームと大阪大学社会ソリューションイニシアティブ(SSI)との連携を通じて、個別の共創チャレンジを創出します。
共創を希望する方々学生、企業、地域の住民の皆様、自治体、NPO法人ならびに各種の非営利法人・団体の皆様、関西SDGsプラットフォーム、大学・研究機関など多様なプレーヤーとの共創を希望します。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

2025年大阪・関西万博では、「いのち輝く未来社会」をデザインすることを目標としていますが、このデザインにおいて地に足の着いた技術を伴ったイノベーションの共創を実現しながら社会課題の解決に資することは、阪大産研が歩んできた今日までの産学連携・共創の取り組みに合致したものです。特に、テーマを支える「救う」、「力を与える」、「つなぐ」というテーマは、科学者集団に今日求められている「社会と科学の共創」という課題にも合致するところが多くあり、阪大産研を育ててくださった大阪・関西から具体的な課題解決のための持続可能なアクションを提案・支援を進めます。

SDGsとの関わり

共創パートナーとしての取り組みは、「世界にいのち輝く未来社会の実現というものを、地に足の着いた技術を伴った形で示す」ことにあります。そのため、阪大産研はまずSDGsの第3目標を設定しました、次に阪大産研が設立以来、産学連携・共創による科学技術革新を担ってきたこと、産業界や市民社会との連携を試みてきたことから、SDGsの第9目標と第17目標との関連を設定しました。
大学の附置研究所として研究開発と高等教育を担う阪大産研では、多様性を尊重し、個々人の異なる立場を重んじ、学問・研究分野だけでなく性別、国籍、民族、文化的背景、年齢などの様々な価値観の違いを超えた文化形成を推進しており、SDGsの目標達成に貢献します。

国立大学法人 大阪大学 産業科学研究所

大阪大学産業科学研究所(阪大産研「SANKEN」)は、関西産業界や有志の「産業に必要な自然科学の基礎と応用」に関する研究機関を大阪に設置したいという強い要望を背景に、1939年に設立されて以来、新産業創成の源泉となる科学的成果とその実装による社会課題解決に取り組んできました。主要「材料、情報、生体の3領域」と「ナノテクノロジー・ナノサイエンス分野」の研究だけでなく、産業科学AIセンターを設立し、「全分野とのAI融合研究による次世代産業科学基盤の創成」にも取り組んでいます。今後も環境・エネルギー・医療・安全安心に関する課題解決を中心として、世界最先端の基盤科学技術創出と社会課題解決の推進を実現します。

・お問い合わせ先:大阪大学 産業科学研究所 戦略室

・担当者名:加藤 久明 / 鍵谷 圭

・電話番号:06-6879-8448

・メール:air-office@sanken.osaka-u.ac.jp

支援している共創チャレンジ

  • デジタル・オープンイノベーション・キャンパス(Digital Open Innovation Campus:DOIC)

    過去の説明会 動画アーカイブは、こちら(企業向け→https://youtu.be/9WXIdikd9ZA アカデミア向け→https://youtu.be/Uaoc3hZ38QU) DOICの詳しい取り組みや説明資料は、こちら(https://bunkashihon.jp/doic/) 〈取組みの役割〉 デジタル空間「EXPO COMMONS」の特性を生かし、会期前から万博機運を盛り上げ、万博のリアル会場の来場者の増加、ひいては、万博を通じた日本の訪問者の増加を目指します。 〈ターゲット〉 日本の大学等の教育機関で行っている教育、文化、スポーツ、科学技術等に関する情報を世界に向けて発信し、SDGsに向けた活動を行っている世界の企業等と力を結集し、社会の一員としてSDGsの目標達成のために貢献をする『共創エコシステムの構築』を目指して、取り組んでいきます。 また、活動に「DAO」を取り入れ、未来型のオープン・イノベーションの在り方を検証する「社会実験」を行います。 〈特徴・仕組み〉 ”国内外の大学・研究者連合”と”企業・官庁&自治体・文化人&市民”とが協働で『デジタル・オープンイノベーション・キャンパス(以下、「DOIC」という。) 』を設け、様々なコンテンツをデジタル空間上に企画・展示し、世界中の人と有機的なネットワークを形成していきます。  アカデミアは「DOIC」の企画・運営・コンテンツの提供等の点で貢献し、企業は「DOIC」に設立・運用に必要な資金、製品、サービスの提供等の点で貢献することで相互に相補的な役割分担を基礎にして「DOIC」の設立、運営を目指します。

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  • 遊ぶ健口トレーニング!スマホゲームで楽しく「健口から健康を!」

    世界に先駆けて、また未来を鑑みて、高齢者がオーラルフレイル(お口の虚弱)に陥らず、いつまでも「楽しい会話」「美味しい食事」が出来るような日本社会の構築にチャレンジします。 【会話の減少】高齢になると誰しも体操や散歩等をして「全身の健康」に気を配ります。しかし現役時代と最も異なるのが、会議やプレゼン等「会話をする機会が極端に減っている」ことです。しかしそのことに意外と気付けていません。「お口の衰え」を「オーラルフレイル」といいますが、口を動かさないでいると衰えていきます。そんなオーラルフレイルはなかなか気付きにくく、気付いた時には滑舌が悪くなっていたり/食べこぼしをしたりして、そのうち人前に出るのが恥ずかしくなり、結果、社会参加をしなくなっていきます。  【ゲームで健口】そこでお口が衰えないように、日々お口のトレーニングすべきですが、強制されない限りなかなかしません。そこで、“遊び”ながら実は無意識のうちに「お口をトレーニング」しているスマホのゲームアプリ、いわゆる「シリアスゲーム」と呼ばれるジャンルの「健口トレーニングアプリ」を着想しました。全国民が無料で遊べる健口トレーニングアプリの第一弾「PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)」は現在(2024年2月)開発中ですが、「パタカラ体操」と「滑舌検査」といった口や舌のトレーニングと検査が一体化したゲームアプリです。「健口から健康を!」をスローガンに、「健口トレー二ング」を日本中で普及させるチャレンジをします。 *)シリアスゲーム:エンターテインメント性のみを目的とせず、教育や医療など社会課題の解決を主目的とするジャンルのゲーム。

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  • 障がい者差別のない平等な情報社会の実現

    大阪・関西万博のメイン会場でもある大阪から、未来社会のデザインとする「ホームページのバリアフリー化」を推進し、日本の情報社会を平等に利用できるためのWebアクセシビリティのファシリテーターとして牽引する大阪モデルを世界へ発信する活動。 Activities to disseminate the Osaka model to the world from Osaka, the main venue of the Osaka-Kansai Expo, promoting "barrier-free websites" as the design of the future society and leading as a facilitator of web accessibility for equal access to Japan's information society.

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  • 緒方洪庵と適塾の歴史から振り返る日蘭交流史:未来に向けた知恵を考える

    江戸時代後期、長崎にある出島に居住を限定されていたオランダ人は僅かに数十名でしたが、当時の二千数百万の日本人に多くの学びをもたらしました。現代に続く日本とオランダの交流を振り返る時、「適塾」を開き蘭学を教え日本近代化に貢献する多くの逸材を育てる傍ら、除痘館を設立し、当時の死亡率20%超と言われた天然痘の予防接種活動を実施した「緒方洪庵」の功績は計り知れないものがあります。その「緒方洪庵」の知恵を今一度振り返り、「日蘭交流史と未来に向けた知恵」を考える共創チャレンジを実現したいと考えています。 具体的には、近年、「健康」をキーワードとした木材活用に取り組んでいる大阪府木材連合会と緒方洪庵記念財団などが連携をしながら、オランダ及び日本に関連する事項と文化の相互の紹介及び理解の促進並びに両国民の友好親善関係の増進に寄与するための蘭学紹介セミナーを開催はじめとして、堺市の「みなと堺グリーンひろば」に設置されている、オランダの大工の手による巨大なオランダ風車の視察等、オランダとの交流を促進する未来志向の取り組みを共創したいと考えています。

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