日本歯科医学会

共創パートナー

2021.10.06

2040年への歯科イノベーションロードマップ<健康寿命の延伸>

高齢者人口がピークを迎え、多くの高齢患者の厳しい状況が予測されている2040年問題に、歯科イノベーションにより健康寿命の延伸に貢献することである。進化する歯科医療によって、高齢者の健康の維持を図り、生活を享受していただくとともに、健康な高齢者の活用によって不足するとされる労働力人口を補填することを目的とする。
その具体的な手段として、日本歯科医学会では2040年をゴールに据えて、歯科医療による健康寿命延伸を具現化するためのイノベーションロードマップを作成した。マップでは、7年ごとのマイルストーンに到達目標を掲げて開発を進めていく。この開発テーマはオープンイノベーションとして、だれもが開発テーマとして利用できるように公表する。2025年の大阪・関西万博では2019年に基点を置き第1期で到達したもの(具現化したもの)に加えて次の第2期のイノベーションに向けての取り組みを提示することが可能となる。

未来への宣言

健口増進による健康の増進を図り「いのち輝く未来社会」を実現する。

きっかけ

2021年9月に歯科界最大の学術大会である「第24回日本歯科医学会学術大会」が開催される。この催しは4年ごとの開催であり次回は2025年の開催が決定している。2021年の大会テーマは「逆転の発想 歯科界2040年への挑戦」であり、その趣旨は『高齢者人口がピークを迎え、多くの高齢患者の厳しい状況が予測されている2040年問題に、歯科イノベーションにより健康寿命の延伸に貢献すること』である。その具体的な手段として、2040年をゴールに据えて、歯科医療による健康寿命延伸を具現化するためのイノベーションロードマップを作成した。現在、どのような形でイノベーションロードマップの内容を世に示し、開発に興味を持っていただくかの検討を行っている。ここで示したテーマは国民に対する約束事にもなり、社会的機運づくりとしても大いに有効である。

創出・支援したい共創チャレンジ

日本歯科医学会を構成する45の分科会(歯科系学会)には歯科イノベーションを牽引する貴重な研究成果が蓄積されている。この知的資源を次の3つの分野に振り分けて活用し、歯科イノベーションを図る。これらの活動の中から適宜、共創チャレンジに登録し、その活動を支援するとともに、関連する共創チャレンジの活動を共創パートナーとして支援する。
Ⅰ 新検査・技術・治療法のイノベーション
Ⅱ 新規材料・器具・機器のイノベーション
Ⅲ 健康長寿社会の実現・フレイル対策

第1期(2019年~2025年)の具体の目標
Ⅰ 新検査・技術・治療法のイノベーション
 歯周病で失われた歯ぐきの再生が可能になる
 むし歯と歯周病を発症させる歯垢細菌叢が判明
 歯や歯ぐきの中を見ることができる光センサー技術が実用化
 スマートフォンによる舌・口腔粘膜の検査が実用化
Ⅱ 新規材料・器具・機器のイノベーション
 むし歯抑制、歯を強くする機能性材料が実用化される
 歯の神経と歯周組織の再生技術が開発される
 天然歯に近い機能をもつ次世代バイオインプラントが開発
Ⅲ 健康長寿社会の実現・フレイル対策
 オーラルフレイルの診断法と管理法が判明
 オーラルヘルスのための画期的新材料(歯磨剤、含嗽剤、歯のコーティング、義歯用材料)が開発される
 はめたらきれいになる歯磨き用のマウスピースが開発される

第2期(2026年~2032年)、第3期(2033年~2039年)の目標達成に向け、更なる研究展開が期待されており、2040年に歯科医療は大きな変貌を遂げ、人類の健康寿命の延伸に貢献する。

提供できるリソース

情報発信・PR2020年から2040年の20年間の歯科医療の変化を示す動画
その他自分の体の健康と心の健康の延伸について、具現化した歯科的なソフト・ハード技術にAR技術などを加えて、健康維持のための未来体験
その他市民講座開講
その他2025年秋に開催される第25回日本歯科医学会学術大会(横浜)と夢洲をつないだイベント

今後の展開

今後展開したい地域国内各地
共創を希望する方々オープンイノベーション事業を遂行するために広範囲の分野の企業や団体。社会実装された知的産物を社会に根付かせるために、広告代理店やデジタルコンテンツ会社。

大阪・関西万博のテーマとの関わり

口の健康(健口)の増進から健康増進を目指す「2040年への歯科イノベーションロードマップ」は、いのち輝く未来社会の実現に他ならない。

SDGsとの関わり

我々の活動は、継続的な技術革新により、口の健康増進から全身の健康増進をめざすものである。また、コロナウイルス等の新規感染症の予防にも口腔健康管理が有効性が明らかとなっている。そして、この活動の先には民族や国の健康格差の是正がある。

日本歯科医学会

日本歯科医学会は、日本歯科医師会の中に設置された学術研究組織であり、現在25の専門分科会及び20の認定分科会を擁している。本学会は、歯科医学を振興することによって歯科医療を向上し、国民及び人類の福祉に貢献することをもって目的とする。学会会員は、日本歯科医師会会員と専門分科会及び認定分科会会員とからなり、現在の会員数の内訳は、日本歯科医師会会員64,372名、専門・認定分科会会員39,940名の合計104,312名である(令和3年3月31日現在)。

支援している共創チャレンジ

  • 遊ぶ健口トレーニング!スマホゲームで楽しく「健口から健康を!」

    世界に先駆けて、また未来を鑑みて、高齢者がオーラルフレイル(お口の虚弱)に陥らず、いつまでも「楽しい会話」「美味しい食事」が出来るような日本社会の構築にチャレンジします。 【会話の減少】高齢になると誰しも体操や散歩等をして「全身の健康」に気を配ります。しかし現役時代と最も異なるのが、会議やプレゼン等「会話をする機会が極端に減っている」ことです。しかしそのことに意外と気付けていません。「お口の衰え」を「オーラルフレイル」といいますが、口を動かさないでいると衰えていきます。そんなオーラルフレイルはなかなか気付きにくく、気付いた時には滑舌が悪くなっていたり/食べこぼしをしたりして、そのうち人前に出るのが恥ずかしくなり、結果、社会参加をしなくなっていきます。  【ゲームで健口】そこでお口が衰えないように、日々お口のトレーニングすべきですが、強制されない限りなかなかしません。そこで、“遊び”ながら実は無意識のうちに「お口をトレーニング」しているスマホのゲームアプリ、いわゆる「シリアスゲーム」と呼ばれるジャンルの「健口トレーニングアプリ」を着想しました。全国民が無料で遊べる健口トレーニングアプリの第一弾「PaTaKaRUSH(パタカラッシュ)」は現在(2024年2月)開発中ですが、「パタカラ体操」と「滑舌検査」といった口や舌のトレーニングと検査が一体化したゲームアプリです。「健口から健康を!」をスローガンに、「健口トレー二ング」を日本中で普及させるチャレンジをします。 *)シリアスゲーム:エンターテインメント性のみを目的とせず、教育や医療など社会課題の解決を主目的とするジャンルのゲーム。

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